
エネルギー問題に取り組んで40年、還暦を迎えるに当たり、いろいろなところで発表してきました主張を、個人のホームページで整理することに致しました。
40年間を思い起こしますと、最初の10年の20代は大学での基礎的学問の修得と研究、次の10年の30代は原子炉メーカー、コンサルタント会社、そしてシンクタンクと、幅広い分野での経験、次の10年の40代は講演と各種ジャーナルでの執筆を中心とした活動、そして最後の10年の50代は仲間で創設したミニコミ紙とコンピューター通信という独自の媒体を使った評論活動でした。
原子力工学からのスタートでしたが、個人的な興味と活動範囲が広がるに従い、注視テーマはエネルギー全般に広げ、それに環境問題が加わりました。また、シンクタンクで政策の研究活動を開始するようになると、それまでの科学技術の分野から政治・経済、社会人類学といった分野まで広がりました。
さて、還暦を迎えたからといってまだまだ日本人の平均寿命にさえ達していませんから、これからの人生の目標を立てて、自分のため、社会のため、有意義に人生を送っていかなければならないと考えています。生物学的には、人間は120歳まで生きながらえるとおっしゃるご専門の先生もいらっしゃるようですから、還暦の60歳はちょうど折り返し点に達したと考えるべきだと自分自身に言い聞かせています。
「ええっ!? そんなに長生きする気?」とおっしゃったのはどなたですか?
そうです、長生きすることに誰にも遠慮はしません。健康に最大の配慮を注ぎ、無理をせず、ストレスも溜めず、せいぜい落語の世界の「小言幸兵衛」になりきろうと思っています。
第一次越冬隊長を努められた西堀栄三郎先生が生前こういう事を小生におっしゃったことを思い出します。
「水口つぁん、ボクはなあ、あの世は地獄へ行こうと思ってますねん。この世で十分楽しませてもろたから、この世こそ極楽やった。だからあの世も極楽へ行きたいいうたら、欲どうしいやろ。せいぜい地獄で楽しませてもらいまっさ」
あの世というところに地獄と極楽が実在するかどうか、小生にはまだ勉強不足で分かりませんが、西堀先生の「この世の極楽説」は、諸手を上げて賛成しました。先生のこの教えは、「この世は既に極楽になっている」といったオプティミスティックな考えに基づくものではなく、「この世に生きる者はこの世を極楽にするよう努力しなければならない」ということだと思うのです。むやみに「あの世の極楽」に期待させるのも問題があるようにも思います。
恥ずかしながら、2年ほど前から茶道を始めました。一月に約1回の練習では初級から上へはなかなか上がれませんが、「わび・さび」の日本文化に触れる喜びを感じています。また、最近は、美術展にも足しげく行っています。時には美術工芸品のオークションにも出かけています。芸術が無性に恋しく感じる年齢に、少々遅蒔きながら達したようです。
人間一人が人生を全うするには、あらゆるものをどん欲に吸収したくなるものです。「衣食足って礼節を知る」心境にはまだまだほど遠いといえましょう。
こんな小生ですが、今後とも末永くご指導下さい。
2002年8月佳日
水 口 哲