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朝日新聞(2012年1月4日夕刊)


<創エネ 省エネ>30


       メガソーラー先進国へ


(その4)


   <本文転載>



 電力不足や地球温暖化対策で注目される太陽光発電。広い敷地に太陽電池 
パネルを敷き詰めた出力1メガワット(1千キロワット)を超える大規模な 
太陽光発電施設(メガソーラー)が次々に造られている。スペインやドイツ、
アメリカなどメガソーラー先進国の施設に匹敵する規模の計画も進行中だ。 



 大規模施設の計画続々

                                                       

再生エネ法、異業種参入促す■建設適地の発電量、全原発の1/3相当

                                       愛知県田原市の三河湾に面した約82万平方メートル、東京ドーム17個  分の土地で、世界有数のメガソーラー計画が進んでいる。発電規模は50メ  ガワット、現在の世界トップ10に入る規模だ。                                                   プロジェクトを進めるのは三井化学や東レなど7社。約180億円かけ、  2013年秋の完成を目指す。太陽電池の技術開発にも取り組む。                                           三井化学が約20年前に石油化学工場用に購入し、計画変更で使っていな  かった土地。久保雅晴総務部長は「日照時間が年間2100時間を超え、日  本でも有数の太陽光発電の適地だ」と話す。                                                     年間の発電量は約5万3千メガワット時で、併設する風力発電所の発電分  と合わせた約6万7千メガワット時を、中部電力に売る。約1万9千世帯分  の電力に相当するという。                                                             世界で最も大きなメガソーラーはカナダの92メガワット(11年8月現  在)。50メガを超える施設は九つある。                                                      国内では、ソフトバンクの孫正義社長が20メガワット級発電所を全国に  10カ所造る構想を打ち出すなど、多くの企業や自治体が計画を進める。                                        住宅設備大手の住生活グループのリクシルは、茨城県坂東市と熊本県長洲  町の工場で各3.75メガワットの施設を稼働している。工場で自家消費す  るが、休日で使わない分は電力会社に売っている。                                                  新潟県と昭和シェル石油は10年、新潟市内の製油所跡地に1メガワット  の施設を建設。山梨県北杜市は11年4月から、八ヶ岳のふもとにある2メ  ガワット級の施設を新エネルギー・産業技術総合開発機構から譲り受けた。  いずれも電力会社などに売電している。                                                       法律で一定割合で再生可能エネルギーの導入が義務づけられた電力会社も  計画を進める。電気事業連合会は、20年度までに全国約30地点で計14  0メガワットの設備を設置する計画を08年に公表。東京電力と川崎市は1  1年8月に7メガワットの浮島太陽光発電所を、12月に13メガワットの  扇島太陽光発電所を相次いで稼働させるなど、各電力会社で導入が進んでい  る。                                                                       東京工業大の黒川浩助特任教授は「日本の年間平均日射量はメガソーラー  導入が進むドイツより多い。場所さえあれば設置は可能だ」と話す。                                          環境省の10年度の調査では、太陽光発電に適した未利用地や耕作放棄地  での発電可能量は、メガソーラーだけで9万7千メガワットと推定する。現  状での太陽光発電の稼働率を踏まえ年1千時間発電したとすれば、国内の全  原子力発電所による10年度の総発電量の3分の1に相当する電力が得られ  る。                                                                       ただ、休耕田は農地法で利用は難しく、建設地によって送電線の費用がか  さむ。適地の利用には、こうした課題の解決が残されている。       



 命運握る買い取り制度

                                                          三井化学やソフトバンクなど異業種からの参入は、11年8月に成立した  再生可能エネルギー特別措置法が背景にある。太陽光や風力などで発電され  た電気を、一定の期間、一定の価格で買い取ることを電力会社に義務づけた  再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度だ。事業の見通しを立てられる  ようになり、参入意欲が高まった。                                                         ところが、制度は7月1日から始まるものの、肝心の価格と期間が決まっ  ていない。当初は1月にも公表されるとみられていたが、議論する算定委員  会のメンバーの人事案が、昨年12月の国会で「反対派が多い」などとの理  由で不採択になった。資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室は「価格  公表の見通しはたっていない」とする。                                                       三井化学のプロジェクトの場合、1キロワット時あたり40円で15年間  買い取ってもらえば採算が合う。だが、30円台後半だと厳しく、事業を進  めるか中止するか判断を迫られるという。                                                      メガソーラーの導入を多数進めてきたNTTファシリティーズ・ソーラー  プロジェクト本部の田中良部長は「買い取り価格が明確にならなければ事業  計画をたてられない。参入希望の企業にイライラがつのっている。国がつく  る制度によって、メガソーラーの将来が決まる」と話している。                                    (中村浩彦)



<記者ノート>

                                                            

   太陽光発電 国土の狭さ逆風ならず

                                                 昨年のクリスマスイブに、山梨県北杜市のメガソーラーを訪れた。八ヶ岳  をバックにずらりと並ぶ太陽電池パネルは壮観だった。冬の太陽を浴びてキ  ラキラと輝くパネルを小一時間も眺めていた。                                                    広大な敷地が必要なメガソーラーは、国土が狭く、山が多い日本には向か  ないと思っていた。だが、各地で続々と誕生している。                                                川崎市と東京電力が建設した浮島太陽光発電所は、もともとはごみの焼却  灰の埋め立て地だった。利用するには20年間は無毒化が必要な土地に太陽  電池パネルを並べた。茨城県つくば市内では、つくばエクスプレスの開通で  沿線開発されたものの未利用だった土地で建設計画が進む。メガソーラー建  設の余地はまだまだあるものだと思った。                                                      太陽光発電は夜間に発電できず、天候にも左右されて不安定だが、発電の  潜在力は高い。7月からの全量買い取り制度は、盛り上がりつつあるメガソ  ーラー建設の機運を損なうことのないような仕組みになって欲しいと願って  いる。                          (中村浩彦)