■このG情報に異議あり■


朝日新聞(2012年1月10日)


<社 説>=============「核燃サイクル」


      事業者任せはおかしい


(その2)G研のコメント


 「原子力委員会はすべての使用済み燃料を再利用するコストが、再処理せず に地中に埋める『直接処分』の2倍になるとの試算もまとめている」

 使用済燃料の再処理費用が、そのまま処分する「直接処分」にかかる費用の2 倍かかるという試算がでたことと、再処理して取り出されたプルトニウムやウラ ンを再度原発の燃料として使うという政策を変更するか否かという議論とを混同 することはできないだろう。

 「こうしたデータをもとに、再処理問題の本格的な議論を始めようとする矢 先の再開は、事業継続の既成事実を積み上げる意図があるとしか思えない」

 「再処理事業も含め原子力政策全般について見直しの検討をするから、結論が 出るまですべての事業は一時凍結」しろ、といった政府の命令が下りたというな ら、事業主としてはその命令に従わざるを得ないだろう。しかし、そうでないな ら事業再開を急ぐのは当然ではないのか。

 それが「事業継続の既成事実を積み上げ」として政府関係者に理解されること にでもなれば、原子力推進派としては望むところではあるが・・・。ただ、その ような勘ぐりはこの際、無用であろう。

 「再処理工場での試験運転は、06年3月から始めた。しかし、高レベル放 射性廃液を高温炉でガラスと混ぜて固める工程がうまくいかず、08年に中 断する。11年3月の再開直前、福島の事故が起き、止まっていた」

 このように遅れに遅れているから、急がねばならないのである。試運転という ものは、再処理事業に限らず、新しい技術を要した工場ならどこでも試行錯誤が 入るから予定より遅れるのが当たり前だ。しかし、こと原子力関連事業となると、 ちょっと故障したり、不具合の箇所が見つかったりして当初の予定が大幅に遅れ でもすると、反対派は鬼の首でも取ったように騒ぎ立てるものである。それこそ おかしな現象である。

 「だが、福島の原発事故が迫っているのは、『安全神話と低コスト幻想』に 基づいた原子力事業全体の見直しである」

 「安全神話」などと神格化した表現はさておき、不正確な地震予知や不適切な 防災計画などが元々存在せず、それらに惑わされることがなければ十分安全性は 保たれると断言できよう。また、発電コストの有利性も、今回の事故による補償 を加味した試算においても十分証明されている。少なくとも再生可能エネルギー よりはるかに有利だということが証明されている。

 ダイアモンドさんも「原発事故もまた『リスクが過大評価されがちな事故』の 典型例です」と注意を喚起され、「原子力のかかえる問題は、石油や石炭を使い 続けることで起きる問題に比べれば小さい」と説明されている。

 「原子力事業全体の見直し」も、政権が自民党から民主党になっているのだか ら必要かも知れないが、「脱原発」に誘導することだけは謹んでもらいたい。「脱 原発」は、ダイアモンドさんがおっしゃる「最悪のシナリオ」の第一歩と考えら れるからだ。

 「私たちは『原発ゼロ社会』に向けた道筋を提言してきた。原子炉の寿命を 40年とする政府の法改正案は、その線に沿うものとして評価する。こうし て脱原発を進めていけば、核燃サイクルは根本から崩れる」

 朝日新聞は、せっかく世界に卓越した学者であるダイアモンドさんへのインタ ビュー記事を掲載しておきながら、彼の勧告を無視して日本を「最悪のシナリオ」 に導こうとしていることに気付いていない。

 日本が太平洋戦争に突入した当時、軍部の暴走を支持したマスコミがあったそ うだが、最近の朝日の「原発ゼロ社会」に向けたキャンペーンは、その当時に酷 似しているように思えてならない。非常に恐ろしいことである。


(次ページに続く)