■このG情報に異議あり■


日本経済新聞(2011年11月30日)


<経済1面記事>


   老朽原発の評価厳しく


      保安院が意見聴取会=安全確保策探る


(その3)G研のコメント


 「国内の運転30年以上の原発は54基中、19基。福島第1は1〜6号機 のすべてが運転30年以上で、特に1〜5号機は『マーク1』と呼ばれる旧 型の第2世代炉。現在主流の第3世代炉より安全性が劣るとの指摘もある」

 「運転30年以上の原発は54基中、19基」もあるかも知れないが、運転再 開もできないで停止している原発がほとんどで、このままいけば来年の春にはす べての原発が停止するというではないか。

 老巧原発の延命策も重要かも知れないが、原子力安全・保安院として、一日も 早く運転が再開できるよう安全性の確認はいうまでもなく、それでも「安心」で きない地元の住民がいれば、地元に長期滞在してでも説得に努めるべきであろう。

 「日本では2020年に運転30年以上の原発が36基に増える見通し。細 野豪志原発事故担当相は9月、老朽原発の廃炉問題について『40年が一つ のラインになる可能性はあるが、年限で切ることは必ずしも科学的ではない』 と述べた」

 「年限で切ることは必ずしも科学的ではない」ばかりか、安全行政の権限でも なく、そういうことは原発の所有者に任せるべきだろう。

 ただ、民主主義国家日本で、しばらくは新規立地での建設が難しいと考えられ るから、老巧原発の延命策も考えておかなければならないテーマであることには 異論はない。しかし、現時点でプライオリティの高いテーマであるとはいえない だろう。

 「電力の供給力を保つため老朽原発の安全対策を強化して運転期間を延ばす か、廃炉して新技術を導入した原発に更新するか政府の方針は未定だ。安全 評価方法の見直し議論は政府が方針を決める際の判断材料になる」

 もう一度いうが、老巧原発の延命策を採るか、廃炉にして新しい型の原発に建 て替えるか、「政府の方針は未定」というより、政府の決定事項ではない。

 「安全評価方法の見直し議論」は、国民を「安心させる」ことの一点に絞って 行うべきである。

 「経済産業省原子力安全・保安院は29日、原子力発電所のストレステスト (耐性調査)に関する意見聴取会を開き、定期検査で停止中の3つの原子炉 について1次評価の審査に入った。保安院は年内に会合をさらに2回開くが、 審査には時間がかかる可能性がある」

 ストレステストの結果を「意見聴取会」に提示して評価するのではなく、「エ ンジニアリング・ジャッジメント」ができるプロの技術者である主任検査官が全 責任を負って評価するものである。専門家が寄り集まって議論しながら多数決で 決めるような代物では決してないのである。

 最後にもう一つ、原子力安全・保安院に苦言を呈したい。

 来年の4月にはこの経済産業省の保安院は閉鎖され、環境省に新設される原子 力安全庁に移管されることになっている。したがって12月から来年3月までの 仕事が保安院としての最後の仕事となるであろう。

 その最後の仕事が老巧原発の延命策を探ることでいいのだろうか。もっと急い でやらなければならない仕事、最後の仕事として誇りを持ってやらなければなら ない仕事は他にないのだろうか。

 安全行政が移管する来年(2012年)春頃には、すべての原発は停止し、そ れらが再稼働する目処も立っていないというではないか。これこそ保安院の最後 の仕事として、安全性を再確認した後、地元への説得こそ最後に相応しい仕事で はないだろうか。すべての原発が停止するというような事態にはならないよう、 保安院の威信をかけて対処すべきであろう。

               「G研」代表


(次ページに続く)