「朝日新聞」(2002年1月11日)
だが、これは法律で15、16年になっている投資の償却期間について、 40年に延ばすことで、建設費が4千億円前後と巨額な原発を燃料費の比 率が高い火力より有利に見せていた結果でもある。 |
総合エネルギー調査会の試算値である原子力発電原価の5.9円/kWhは、定格出力130万kW級のモデルプラントを40年稼動させるなどといった前提での試算であり、何ら不都合はない。電力業界もこれを否定する理由も、事実もない。妥当な発電原価と認めている。
記事は、電力業界が、いままではこの発電原価を「見せかけ」としていたのを、近い将来、これを否定して政府に援助を要請するかのような表現だが、これこそ、まったくの「でっち上げ」で、11個目である。
実際の原発の発電単価は、比較的古い原発が多い東電でも約8円とされ、 新しい原発の稼働直後は償却負担が重く約12円と割高になる。 |
このことは常識で、記事のように簡単に表現できないのだ。よって、どこから見つけてきたのか知らないが、8円、12円といった数値は何の根拠もない。よって、これも第12の「でっち上げ」である。
参考までについでにいっておくが、原子力に限らず、火力も新設直後は減価償却の負担が大きい分、発電コストは割高にならざるを得ないのである。
「まず自助努力を」の声も 特に負担が重くなるのは企業規模の小さい地方電力が新設原発を抱えた 場合だ。需要の伸び悩みも重なり、志賀原発2号(出力135.8万kW) が06年3月に稼働予定の北陸電力は、管内の最近の需要増の15年分以 上の供給が一気に増える。約半分は関西、中部両電力に引き取ってもらう 考えだが、競争相手からほかの電源より高い電気を買うことになる両電力 は競争上不利になる。 |
こういう事実に基づいた状況判断もせずに、「原発の発電コストは高い」という、記者の潜入観念を捨てることなく記事を書けば、「でっち上げ」ばかりの薄っぺらな記事になることを如実に証明してくれている。第13の「でっち上げ」。
ただ、原子力関連部門の再編など業界内での合理化の余地もあり「まず は自らの努力が先だ」(荒木浩・東京電力会長)とする意見も根強い。 |
また、05年7月の運転開始を目指して青森県六ヶ所村に建設中の核燃 料サイクル施設は、2兆円余りの公表コストに追加費用が生まれ、事業費 が膨らむ見込みだ。 |
こういった事業活動のやり方は、技術開発を進めながらの事業なら当然の手法で、当初の見積もりから膨らむのは驚きに価しない。
学者や市民団体は、建設を中断して使用済み核燃料の「全量再処理」路 線を凍結し、30〜50年の中間貯蔵によって政策を検討する時間と選択 肢を設けることを提案する。 大手電力幹部は最近、「青森県の理解を得たうえで建設を凍結し、中間 貯蔵に移行する案も大いに誘惑される避択肢だ」と口にし始めている。 |
従って、民主主義の国だから、色々な意見も出て来ようが、「凍結」を進める意見には、よほどのことがない限り、耳を貸す必要はないだろう。そのような意見を発する大手電力幹部はいないと信じている。もし、そういう発言を直接聞いたのなら、氏名を明らかにしてもらいたい。
総計14個の「でっち上げ」が見られた。世界に冠たる大新聞、朝日新聞の名声と良識を疑いたくなるような記事であった。実に嘆かわしい。
「G研」代表