<その3>

「朝日新聞」(2002年1月11日)


<13面>

「安い原子力」自ら否定

   [電力業界原発の公的支援要請へ]

             推進政策にも飛び火か

 電力業界が原発コスト削減に向けた新たな公的支援を求めるのは、本格
競争が迫り、原発の経済性の欠点がはっきりしてきたからだ。国策である
原子力推進を業界頼みにしてきた政府と、経済性を優先せざるを得ない業
界の「本音」との差が大きくなっており、自由化論議は原子力政策そのも
のの議論に飛び火しつつある。                   
 原子力発電は、全発電期間を通じて考えると、火力や水力など、他の電源と比べ、優れた経済性を有している。しかし、原子力の資本費(建設費)が、他の電源と比べ高いことから、運転開始当初は原価が高いという特性を持っている。

 しかし、これが、どうして「原発の経済性の欠点」と言えようか。これで第九の「でっち上げ」。

 「1キロワット(kW)時あたりの発電単価は原子力が5.9円、天然
ガス火力が6.4円、石油火力が10.2円」            
 電力業界の代表も加わった政府の総合エネルギー調査会(当時)原子力
部会は99年12月、原発コストの安さを示す試算を発表し、原子力推進
の大きな論拠になった。新たな公的支援の要請は、業界が自らこの試算を
否定することになる。                       
 業界の誰が、いつ、何処で否定したのか? おっと!「否定することになる」と表現して、「否定した」としていないところに、記者の「ずるさ」がある。

 地球環境保護やエネルギーセキュリティへの貢献を考えれば、自由化と原子力が両立するような制度・枠組みを考えていくことが重要である。自由化になると、先行投資の長い原子力発電所の建設は不利にはなるが、だからといって、原子力コストの支援を求めるという考えは、何処を叩いても出てこない。これで、10個目の「でっち上げ」だ。

           (次につづく)