
■このG情報に異議あり■
原発などの安全性が疎かにされて事故でも起これば、IAEA創設目的の一つ 「原子力平和利用の促進」が脅かされることになりかねないから、原発の安全性 に関わる仕事も重要な業務の一つであろう。しかし、IAEA本来の重要な業務 は「軍事転用されないための保障措置」であるはずだ。
したがって原発など平和目的の施設における安全性のチェックは、原発保有国 それぞれの政府が責任をもってチェックしていかなければならないはずだ。その 責任までIAEAに押しつけるのは、IAEAの過大評価というか、期待のしす ぎというものだろう。
「国際原子力機関(IAEA)は世界の原子力安全の見張り役になれるか。 IAEA理事会が採択した『行動計画』をみる限り、力不足は否めない。深 刻な原子力事故が起きれば影響は世界に及ぷ。同機関の機能を高め、原発保 有国が事故情報を共有し安全に関する技術協力を緊密にする努力が強く求め られている」
今後は、発展途上国まで原発の新規建設が始まるだろうから、それらの国に安 全性における責任を負わせるのは少々無理があると思われるから、どこか国際機 関で各施設の安全性をチェックする必要性があるかも知れない。
そのチェック機関にIAEAも一つの選択肢だと思われるが、それには今後の IAEAの改革にかかっており、人材の強化も含め、組織全体を整備しなければ ならない。
「中国など原発増設を望む新興国がIAEAの権限強化を嫌ったとされる。 事故の衝撃から半年が過ぎて危機感に早くも緩みが生じ、コンセンサス重視 で大胆な決定ができない国連機関の限界が露呈した格好だ」
IAEAから派遣される保障措置の査察官はどこかの国に所属しているのであ って、査察業務を通じて入手した情報が漏洩する可能性があるといった指摘が以 前からあった。とくに核兵器保有国や保有が疑われている国では、他国の人間に よる査察を極度に嫌う傾向があり、IAEAの保障措置業務にも限界があるとい った指摘もあった。
こういったIAEAに従来から負わされてきた課題を解決せずして一気に「抜 き打ち検査」などの権限をIAEAに持たせることにはどだい無理がある。
「IAEAによると、2030年までに少なくとも90基の原発が世界で新 たに稼働する。原発の安全は1国の判断だけに全面的に委ねることができな い世界共通の課題だ」
国際的な安全審査・検査といった業務は急がれるところだが、それまでには解 決しなければならない難しい課題山積といった状況だろう。
原発の安全審査・検査業務を国際機関に移行する前に、新規に原発の建設を計 画する国が規制や安全システムなどの整備が完備したかどうかを国際機関でレビ ューすることは重要だろう。もし完備不十分といった結果が出た場合、プラント 輸入を差し止めるといった英断も必要になってこよう。
ただ、「原発の安全は1国の判断だけに全面的に委ねることができない」よう では、原発を保有する能力がないと批判されよう。本来なら原発の安全性は一国 で十分確保できるものであって、できなければ可笑しいものでなければならない のである。
「日本を含め原発保有国には、技術におごらず真摯に原子力安全の国際協力 に取り組む責任がある。IAEAを中心に、世界共通の高い安全基準をつく りその順守を各国が相互に点検する。事故やトラブルの情報を共有し安全で 効率的な原発運転に生かす。そうした不断の努力なくして、原子力の利用を 世界に広げることはできない」
原発などの平和利用から軍事利用への転用がないかを査察することと、原発そ のものの安全性をチェックすることとはまったく異質なものである。IAEAの 業務は前者であって、後者の原発の安全性をチェックする業務は本来入っていな いのである。
原発の安全性をチェックするのは誰が最も相応しいかと問われれば、原子力発 電プラントのメーカーであり、それを保持して運転管理している電力会社なので ある。
何故なら、その二社が安全性のチェックを疎かにして事故でも起こせば、その 二社が受ける損害が最も大きいからである。従って原発の安全性は、食糧や車の 安全性とはまったく異質のものであるということを認識しておかなければならな いのである。
「G研」代表