8月上旬、山梨大学を会場に「日本エネルギー環境教育学会」の全国大会 が開かれた。「教師が原子力と向き合うための疑問点を解決しよう」と題さ れた分科会には、小中高校の教員や研究者ら約40人が集まった。 原発の是非について、学会は「基本的に中立」(事務局)と言う。だが、 役員には、電気事業連合会の広報部長が名を連ねる。分科会では、原発メー カーの特別顧問らが「脱原発の流れは世界でごく一部」「年間100ミリシ ーベルト以下の放射線は喫煙よりリスクが低い」と説明した。 「理解できない人は親指を下に」と司会者が問うと、10人前後が合図し た。そのひとりの石川哲夫さん(61)は「福島第一原発の事故を受けて現 場は本当に悩んでいる」と発言した。 7月末まで福島県いわき市立小名浜第一小学校長だった。2008年度か ら資源エネルギー庁のエネルギー教育実践校に指定され、「資源が枯渇する 中、火力、水力、原子力とバランスのとれたエネルギー供給が必要」と教え てきた。 それが間違っていたとは思わない。だが、事故で原発の安全性への見方は 変わった。「まさか爆発して人が逃げ惑い、住めなくなるとは。どれほどの 被害が出るのかエネルギー教育の中で教えなければ」 文部科学省や資源エネルギー庁は、モデル校への補助金のほか、原発の利 点の記述が多い副読本「わくわく原子力ランド」を作ったり、ポスターコン クールを開いたりして、毎年計10億円前後を注ぎ込んできた。 小中学校の教科書で原発を扱うのは主に中学の理科、社会。検定では80 年代以降、たびたび意見がついた。04年度の中学公民の検定では「原発の 問題点を強調しすぎ」「自然エネルギーの有望さを誇張しすぎている」など、 申請した全8社に意見がついた。教科書会社の編集者の一人は「原発推進の 国策が検定に反映された」と受け止めた。 |
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