「サンデー毎日」2002年1月6日・13日

  電力中央研究所リポートの衝撃度

       「電力自由化で原発は新設できない」

<その2>

 リポートをまとめたのは、電力会社が出資する(財)電力中央研究所 
(電中研)の矢島正之・研究参事。この電中研、これまで我が国における
原発推進政策の一翼を担ってきた機関なのだが、今後も10基以上の原発
を建てようとしている国や電力業界にしてみれば、その方針に”身内”か
らブレーキをかけられたようなものである。矢島参事に話を聞きながら考
えてみた。                            
 電中研の矢島正之・研究参事は、以前からももちろん原子力推進論者で、いまも変わっていないし、これからも変わることはないだろう。今回のリポートは、大きな業績になったことは確かで、原子力推進のブレーキになったなどと書かれて、大いに憤慨していることだろう。

 矢島参事に取材したルポライター氏のへそ曲がりにも困ったものだ。各パラグラフ毎に少々チェックを入れてみよう。

 「電力の自由化を要求しているのはすべて、大口の需要家です。ドイツ
でもイギリスでもアメリカでも、そして日本でも。「我々はグローバルな
競争に直面している。かなり苦戦を強いられている。それはエネルギー価
格が高いからだ。競争が入っていないから高いのだ。だから電力も自由化
しろ」というわけです。それで、電力も自由化することになった」   
                             (矢島氏)
 つまり、自由化は世の風潮、というわけである。          
 自由化は世の「風潮」ではなく、世界、とくに自由経済社会の時代の流れ、「潮流」なのである。規制で締め付け、国家が手厚く面倒を見たり、価格の決め方まで口を挟む時代は終わった、ということである。

             (次に続く)