「サンデー毎日」2002年1月6日・13日

  電力中央研究所リポートの衝撃度

       「電力自由化で原発は新設できない」

<その1>

−−<前 文>−−
                                 
 度重なる事故、寿命問題、テロ問題、そして電力自由化と、原発を取り
巻く情勢は日に日に厳しくなる一方。そんな中、衝撃的なリポートが原発
推進陣営から発表された。なんと、電力自由化で「日本はもう原発を新設
できなくなる」というのだ。                    
                     ルポライター・明石昇二郎
 「電力事業の自由化」とは、できるだけ規制を緩和して自由主義経済の基本である自由競争を事業者に奨励し、価格の低下、サービスの向上という消費者メリットを引き出そうという政策である。

 事業者同士は大いに競争し、消費者に選択してもらうよう研鑽努力を積めばいいのだが、競争が激化すると、商品の生産の方法で、より安易な方法を選択せざるを得ないということになるのは当然の成り行きだ。

 電気事業の自由化の場合、電気という商品の生産、つまり発電方法で火力と原子力を比較してみよう。

 火力に使われる石油は輸入に不安定で価格も変動が激しいというデメリットを抱えている。しかし、発電技術には歴史があり、社会にも受け入れられやすいし、建設コストも原子力と比較して安い。よって、自由化で競争するには手っ取り早い方法といえる。

 一方の原子力は、発電コストも安く、安定して供給もできるが、社会に受け入れられにくいという最大のデメリットを抱えている。よって、計画(投資開始)から運転開始までに年数を要するから、自由競争下では投資のメリットは低いと言わざるを得ない。

 こういう理由から、自由化は原子力推進には不利、ということは常識であって、なんら「衝撃」でも何でもない。電中研の今回のリポートは、自由化によって、どれくらい原子力に不利になるか、調査検討したもので、今後の日本のエネルギー政策の中で、特に「自由化」と「原子力推進」を如何に盛り込むか、といった面で大いに活用されるだろう。

 このたび、原発推進陣営を震憾させる研究結果が発表された。「電力自
由化と原子力発電」と題されたそのリポートによれば、電気事業市場に価
格競争を導入する「電力自由化」が完全に実施されると、「既存の技術に
基づく原子力発電の新設は難しい」のだという。           
 今回のリポートの発表によって「震撼」とさせられたのは、我々原発推進陣営」ではなくて、勉強不足のジャーナリスト達であることを、この「サンデー毎日」に取り上げられた記事が証明した。

             (次に続く)