■このG情報に異議あり■
「電力需給バランスに大きな支障が生じないように政府としても最大限の対策 を講じる」ことなどまったく不可能である。何故なら日本政府は如何なる発電設 備も待ち合わせていないから、「最大限の対策」など口先だけの戯言に過ぎない。
また、「省電力の工夫」こそ政府が率先して行動で示さねばならないが、いま のところそういう情報はいっこうに伝わってこない。
「−−どういった法律に基づく要請であるのか。中部電力側が断ってきた場
合、どのようにするつもりか」
「指示とか命令という形は、現在の法律制度では決まっていない。十分にご
理解をいただけるよう説得をしていきたい」
総理の記者会見で、記者の質問に菅総理が答えたくだりである。
浜岡原発の停止要請は、法的にできない「命令」ではなく、あくまでも「お願 い」であったことが、この記者とのやりとりで明らかである。しかし、いくら 「お願い」といえども、その要請がいうても一国の総理から発せられたものであ るから、要請を受けた民間の企業であっても受けざるを得なかったであろう。
「宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子炉工学)の話 建屋の密閉性や非常用発 電の強化など至急の対策をして、防潮堤などの中長期の計画も早める必要が ある。その上で、シビアアクシデント(過酷事故)への対応を見直せば運転 を続けられるのではないか。止めることによる社会の混乱が心配だ。ただ、 原子力安全委員会、内閣府参与、原子力安全・保安院などで合意して判断し たのなら、一つの見識かと思うが」
もっともなご意見である。先生は重要なことを指摘されていることを見逃す訳 にはいかない。それは「ただ、原子力安全委員会、内閣府参与、原子力安全・保 安院などで合意して判断したのなら、一つの見識かと思うが」というところだ。
実際はこれら専門の三グループいずれの同意も得ずに菅総理周辺の政治家数人 による検討のみで閉鎖要請を出したのである。つまり原子力の専門家集団は無視 されたのである。
「住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)の話 中部電力の対策が終わる までということだが、あまりにも唐突だ。どういう材料を元にして判断した のか、なぜ今なのか理解に苦しむ。公開で討論し、科学的、技術的に判断す る内容だ。なぜ原子力安全委員会に諮らないのか。止める判断は安全を考え てかもしれないが、動かす際も首相の判断によるのだろうか。しかるべき手 続きを踏むべきだと思う」
別に公開で討論する必要もないと思われるが、「科学的、技術的に判断する内 容」であることはたしかである。住田先生も「なぜ原子力安全委員会に諮らない のか」と疑問視されている。原子力委員にプライドがあるなら、直ちに辞表をた たきつけても可笑しくない総理官邸側の暴走であろう。
「政府の地震調査委員会は、浜岡原発直下で発生すると想定される東海地震 が、今後30年以内に発生する確率を87%としている。菅首相も原子炉停 止の要請の根拠としてあげた」
浜岡の87%を重視する前に、0%として大震災に見舞われた福島のケースを 総括すべきであろう。この両極端な2例を見ただけでもこの「政府の地震調査委 員会」が出していた大地震発生確率のでたらめさが分かろうというものである。
「過去の周期と、最後の地震からの経過期間を元に地震調査委は04年、3 0年以内の発生確率を『84%』と公表。その後の時間経過から今年1月現 在で『87%』と計算した。ただ、この確率は『参考値』で『いつ起こって もおかしくない』状態と言われ、中央防災会議はエネルギーが『臨海状態ま で蓄積している可能性が高い』と指摘した」
浜岡の発生確率を87%と上方修正した「今年1月現在」の時点で、福島第一 の確率を「0%」としていたのではないか。それから3ヶ月もたたない3月11 日、マグニチュード9という未曾有の大地震と大津波が東日本に襲ったのではな いか。
この反省も修正もなしに、87%という発生確率だけを理由に浜岡原発の閉鎖 要請を出した菅政権は大きな間違いを犯したといえよう。少なくとも地震の専門 家である地震調査委員会と、原子力の専門家集団である原子力安全委員会の両グ ループに諮問すべきであった。
いずれにせよ、原子力屋は地震屋さんのでたらめな予知に振り回されてきたこ とを大いに反省すべきである。したがって福島第一原発で大きな事故に発展させ てしまった最大の理由は、地震調査委員会のでたらめな想定を信用しすぎたこと であるといえよう。
「G研」代表