■このG情報に異議あり■


朝日新聞(2011年4月23日)


<3・11 記者有論>


   原発「想定外」 知事は国策抜け出す施策を


                  政治グループ 有馬 央記(ひろき)


(その2)


   <本文転載>



 統一地方選で、原発を抱える北海道、福井、島根、佐賀の4道県の知事選 
があった。東電の事故を受けて、4人の現職知事のなかには「原発をいった 
ん止めよ」と踏み込む人もいるかと思ったが、「安全性の向上」を訴えるに 
とどまった。そして、みんな驚くほど圧勝した。             
                                   
 最多の15基の原発がある福井の西川一誠知事は「福島のような事故を福 
井では起こさせない」と唱え、相手に4.5倍の大差をつけた。佐賀では投 
票率が下がったのに、古川康知事が得票を増やした。           
                                   
 選挙で信任を得た知事たちは、国に安全対策の強化を求めつつ運転継続を 
容認する。                              
                                   
 でも、待ってほしい。これではまるで「3・11」の前と後で何も違わな 
い。                                 
                                   
 いくら「安全性の向上」を確約しても、「想定外」を想定して練られる対 
策には、おのずと限界がある。                     
                                   
 そもそも原発が過疎地にあるのは、事故が「想定内」だったからではない 
のか。今回、事故直後から半径20キロ圏内に避難指示が出た。もし東京湾 
に原発があって同様の事故が起きたら、東京23区はすっぽり圏内だ。1千 
万人以上が被災し、日本の政治も経済もマヒしてしまっただろう。     
                                   
 古川氏に尋ねてみた。                        
                                   
 「原発は誘致しないところには絶対にできない。東京湾岸の自治体は『お 
カネがあるからいらないよ』だが、過疎地は地域振興の起爆剤になればと思 
うから手を挙げる」                          
                                   
 確かに原発はお金になる。国から交付金が来る。地方税の税源にもなる。 
佐賀県は今年度予算で20億円の「核燃料税」を見込む。さらに九州電力は 
佐賀県にできる「重粒子線がん治療センター」に40億円を寄付する。   
                                   
 古川氏は「安全が前提だ。危険だけどどうでしょうかと言われたら、『ご 
勘弁を』と思う」と語る。                       
                                   
 だが、地元に落ちる大金は、リスクと引き換えのものではないのか。   
                                   
 原発は「国策」として進められてきた。国は「安全」だといい続けた。こ 
の二枚看板で地域経済に根を張った原発の現状をみるとき、「ご勘弁を」と 
すぐには言えまい。                          
                                   
 しかし、「3・11」で安全神話は崩れた。              
                                   
 52歳の古川氏は「原発を30年持たせようとは思わない。代替エネルギ 
ーヘの移行は我々世代の責任だ」とも語る。ならば、「安全性の向上」とい 
う次元ではなく、いずれ原発をなくしていくための施策がもっと要る。