<研究者の弁明==電気新聞から>その2
◆論文を巡る報道は残念 −−論文のインパクトは非常に大きかったが。 「ちょっと誤解されて報じられたのが残念だ。というのも私は決して核 燃料サイクルを否定したり、モラトリアムを設定しろと言っているのでは ない。資源小国日本にとってウラン資源を有効利用する核燃料サイクルは 極めて重要であり、その一環となるプルサーマルや高速炉の必要性は少し も変わらない。私自身、その必要性を人一倍強く感じている。 論文に関していろいろ報道はあったが、あたかも私たちのグループが 「使用済み核燃料の再処理計画を棚上げし、直接処分を検討」と報道され たことには本当に首をかしげたくなる。 確かに論文は「何が何でもサイクルを進める」という硬直した発想は避 けようと言っているが、決してサイクル政策の抜本的見直しを迫るもので はない。 国民に無理強いするようなやり方は理解も得られないし、かえってサイ クルの実現を難しくするから、(サイクルを取り巻く)状況を冷静に分析 し、慎重にタイミングを計りながら、進めたほうがいいと言っているわけ だ」 ◆2年間かけて日米共同制作 −−核燃料サイクル上、プルサーマルは重要だが、実施予定地の反対で 進まなくなった。そんなところへ今回の論文発表があった。 「もちろんプルサーマルを取り巻く厳しい環境は承知している。しかし 今回の論文は東京大学とハーバード大学が2年間かけて準備したもの。発 表のタイミングに対する見方はいろいろあると思うが、両国の共同研究で あるから、研究者個人の考え方は最小限に抑えられ、合意できる内容だけ 盛り込まれた。決して日本の状況に左右されて作ったものではない。」 ◆日本はもっと関心を持って −−日米では使用済み燃料の問題をめぐって政策的立場が異なる。 「日本は再処理、米国は直接処分。この問題はとかく論争の的となり、 一体どちらが理想的なシステムかをめぐって意見が分かれる。しかし、今 回の論文はどちらかに優劣をつけたり、二者択一を迫るものではなく、中 間貯蔵というシステムを使えば日米両国とも将来に向け柔軟な計画を作れ ることを明らかにした。この点に言及したのは初めてであり、一つの成果 だと思う。 そして、中間貯蔵を着実に進めることは決して両国の計画を否定するこ とにはならない。日本が中間貯蔵施設を増強するからといって、再処理か ら撤退するわけではないし、米国も直接処分を棚上げするわけではない。 誤解されては困るが、中間貯蔵を進めるということは再処理あるいは直 接処分どちらでも選べるようにすることであり、二者択一という窮屈な状 態から選択の幅を広げることを意味する。「中間貯蔵の増強イコール再処 理からの撤退」という構図はあまりにも短絡に過ぎる。 地球規模のエネルギー需要を考えると、やはり原子力抜きでまかなうこ とはできない。それなのに使用済み燃料を再処理するか直接処分するかで 迷っていては原子力開発は遅れてしまう。その意味でも再処理だけでなく 中間貯蔵の推進は重要であり、日本はもっと関心を持って、この問題を考 えたほうがいい」 |