■このG情報に異議あり■


日本経済新聞(2011年2月28日)


<社 説>


      低炭素と成長を両立する原子力大綱に


(その3)G研のコメント


 「原発から出る使用済み燃料を別の場所で保管する『中間貯蔵施設』や、放 射能の強い廃棄物の最終処分場選びも、政治主導で早く立地場所を決めるべ きだ。使用済み燃料などの行き場がないことが地元の不安の種になり、この ままでは原発の新増設にも影響が及びかねない」

 選挙で自分が当選することしか眼中にない政治家がほとんどの日本の政治情勢 にあって、如何にして放射性廃棄物最終処分場選びを「政治主導」で進められる のか、ここでももっと具体的な提案が必要だろう。

 先に述べたように原子力発電による電力の「自給自足」制度の導入が功を奏す るだろう。それが難しいなら、政治家が得意とする外交交渉をつかって広大な砂 漠を国土に持つ国に高レベル放射性廃棄物最終処分場で一儲けするビジネスの話 を持っていく方法もある。日本国内で同処分場を引き受けてくれる自治体に支払 おうとしている補助金や建設費より多額のおつりが残るであろう。

 「再処理は今後40年で11兆円の費用が見込まれ、電力料金の一部として 国民が負担している。第2工場の建設でさらに負担が増すとの懸念が産業界 や消費者団体の一部にある。コストをきちんと示して議論し、国民の理解を 得ることが前提だ」

 大規模な事業を推進するためにはそれ相当の投資が必要であることはいうまで もない。使用済み燃料の再処理事業は、電力業界や原子力発電プラントメーカー などが構成する民間の原子力産業界によって進められている。したがって参加す る企業の株主にはコストを含めた事業計画の理解を求めなければならないが、一 般国民の理解を得る必要は原則的にはない。

 ただ、使用済み燃料を再処理して再度燃料として使用するリサイクルが必要で あることは、資源小国日本では特にいうまでもない。しかし、消費者が、原子力 はコストがかかりすぎ、不安だからイヤだというなら、各種ある電源の選択を消 費者自身に選択させるシステムをとらざるを得ない。これこそまさに究極の電力 の自由化であろう。

 「一方、核拡散防止条約(NPT)に加盟せずに核兵器を持つインドへの輸 出には慎重論もある。民生技術が軍事に転用されぬように明確な歯止めを作 るのは原子力委の責務だ」

 核兵器への拡散を防止することはそう容易いことではない。本来その役割は、 国連安保常任理事国が負っていたはずだ。その常任理事国であるアメリカ、フラ ンス、ロシアなどがインドに接近して発電プラントの輸出に関する交渉を進めて いるというではないか。

 一方の日本は、世界で唯一の被爆国であることを理由に、原子力発電プラント の輸出が可能なほど十分に経験を積んできたにもかかわらず、指をくわえて見て いなければならないとは情けない話だ。

 「民生技術が軍事に転用されぬように明確な歯止めを作るのは(日本の)原子 力委の責務」ではなく、その責任を負うのははっきりいっておくが、国連安保常 任理事国である。このような重責を我が国の原子力委員に持たせようとは笑止千 万であるといえよう。

 「研究開発の体制も見直すときだ。これまで次世代の高速増殖炉などは文部 科学省の研究機関が、商用原発の安全確保などは経済産業省が担ってきた。 だが縦割りの弊害で予算配分が硬直的になり、新たな技術開発に挑む資金が 乏しい。組織を再編して予算を効率的に使い、新技術や人材育成に投資する 発想がほしい」

 我々の読解力が未熟だからであろうが、このパラグラフの意味するところは難 解である。「縦割りの弊害で予算配分が硬直的になり、新たな技術開発に挑む資 金が乏しい」とはどういう意味だろうか。

 また「組織を再編して予算を効率的に使い、新技術や人材育成に投資する発想」 にも具体性に欠けていて説得力がない。

 「原子力政策は政府の一部省庁や電力業界の限られた関係者が決めてきた。 閉鎖的な体質から抜け出し、低炭素とエネルギー確保、成長を見渡した大局 的な戦略が要る」

 「閉鎖的な体質」とは思わないが、もし本当にそう思うなら、マスコミからも 大いに提案すべきである。ただし、その提案は、今回の社説のようなあまりにも 大局的な主張ではなく、できるだけ具体的な提案なら、我々も含めた原子力界も 大いに勉強させてもらおうではないか。

               「G研」代表


(次ページに続く)