■27%と8割
「日本の立場に少しずつ、近寄ってきている」
ニュージーランド、豪州、カナダなどの先進国について、日本政府代表団
幹部はこう分析してみせた。
会議初日の特別作業部会で、日本は「いかなる条件のもとでも、京都議定
書の延長は認めない」と発言。2013年以降の「第2約束期間」の設定に
反対する姿勢を明確に打ち出し、途上国も対象とするコペンハーゲン合意国
の枠組みを重視する考えを示した。
05年に発効した現行の京都議定書は、欧州連合(EU)や日本などの先
進国だけを対象に温室効果ガス削減を義務づけるもので、国単位で大量の温
室効果ガスを排出しているアメリカや中国などは入っていない。
1990年ごろ、京都議定書で削減義務を負った国の排出量は、世界の総
排出量の7割弱に達していた。だが、米国は01年に議定書から離脱し、中
国など途上国の排出量も増加。08年での割合は約27%にまで減少した。
環境省幹部は「実効性のある対策のためには京都議定書の延長ではなく、カ
バー率で8割を超えるコペンハーゲン合意を重視すべきだ」と指摘する。
当初から議定書の延長を求めていた途上国は一斉に反発した。ほかの先進
国にも追随する動きが伝えられ、一時は日本が孤立するのでは、とも指摘さ
れた。
しかし、日本との2国間会談などを通し、ニュージーランドやカナダは姿
勢を変えつつあり、「日本は正しい土俵を作ってくれた」という称賛の発言
もあったという。「早めに態度をはっきりさせたことが良かった」と日本政
府は分析する。
■途上国は反論
日本の主張に真っ向から反発する途上国には、「産業革命以来、温室効果
ガスを排出し続けてきた先進国は、率先して削減する責務がある」との基本
姿勢がある。南米・ボリビアの大使は3日の記者会見で、「われわれは、京
都議定書を殺すことは認めない。すべての主要排出国が入る新たな枠組みを
目指す動きも、認められない」と激しい言葉を使って訴えた。
中国も4日の全体会合で、「議定書の第2約束期間を設定すべきだ。妥協
はいっさいしない」と主張した。
■EUの思惑
日本と途上国の間に挟まれ、会議の行方を大きく左右しそうなのがEUだ。
EUは今のところ、京都議定書を延長させ、さらに米中と途上国などにも法
的規制をかける別の「議定書」を作るべきだ、という立場。4日夜の全体会
合では、新たな全員参加の削減枠組みと、京都議定書の延長の双方について、
「両方が法的拘束力のある枠組みになることを望む」と言明した。
EUの立場の背景には、二酸化炭素(CO2)などを排出できる権利を売
り買いする排出量取引市場への影響がある。他地域に先駆けて、05年から
スタートさせたが、市場は低迷。日本の環境省関係者は「EUは、双方の枠
組みが頓挫し、削減の義務付けに空白期間が生まれると、排出枠取引が冷え
込むことを気にかけている」と分析する。
一方、米国や豪州は、新たな議定書の作成を目指すかどうかは、態度を明
確にしていない。各国の閣僚は5日、続々と現地入りし、妥協点を探る論戦
が本格化する。閉幕は10日だ。
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