読売新聞(2001年7月3日)

<社説>

   [エネルギー]==炭素税をめぐる議論も始めよ

<その2>


 原子力発電所の建設が計画通りには進まない状況で二酸化炭素(CO2)
の排出抑制とエネルギーの安定供給をどう両立させるか。       
 2010年をにらんだ長期エネルギー需給見通しを、総合資源エネルギ
ー調査会(経済産業相の諮問機関)が3年ぶりに改定した。      
 省エネルギーの強化とともに、風力、太陽光発電などの新エネルギーを
目一杯開発する方針を示し、京都議定書で公約した地球温暖化ガスの19
90年比6%削減を達成する姿を描いてはいる。           
 3年ぶりに改定された日本のエネルギー政策「長期エネルギー需給見通し」は、確かに「京都議定書」で公約したことを配慮してはいる。いるが、エネルギー分野からは「不可能」とまでははっきりいってはいないが、内容を詳細にチェックすると言っているのと同じ表現が目立っている。

 しかし、それを実現するための政策には手詰まり感が強い。CO2排出
量に応じて課税する炭素税の導入など、抜本的な対策について議論を始め
るべきだ。                            
 「炭素税」導入が「抜本的な対策」とは思えない。罰金を上げれば交通違反が、ある程度減りはするが、交通問題の「抜本的な対策」とはなり得ないのと同じである。

 需給見通しを改定したのは、経済、エネルギー情勢が急速に変わってい
るためだ。2010年までに16〜20基としていた原発新設数は、原子
力への逆風を受け、10〜13基に引き下げた。           
 二酸化炭素の排出がまったくない原子力発電所の新設数を、現行の16〜20基から10〜13基に大幅に減らしたにも関わらず、これに関して何も言及していない読売の社説には、大いに「異議あり」である。

 最終エネルギー消費の目標は、産業部門を下方修正したものの、IT(情
報技術)化などで増加が確実な民生部門を上方修正し、合計は原油換算4
億キロ・リットルと現行目標並みに据え置いた。           
 今後10年間での、エネルギー消費予測量が、基準ケースこそ原油換算で、700万キロリットル増(1.74%増)としているが、目標ケースは原油換算で200万キロリットル減(0.49%減)としている。

 いくら日本のエネルギー弾性値がいいとはいえ、今後10年で微増、あるいは減少では、経済の上昇もあり得ないと、総合資源エネルギー調査会が予測したことになる。

 これについても、読売新聞の社説は異議を唱えるべきだ。

 種類別のエネルギー供給では、構成比で石油45%、石炭19%、原子
力15%、天然ガス14%、新エネルギー等3%程度との目標を掲げた。
現行に比べ、石炭を4ポイント、天然ガスを1ポイント増やす一方、石油
と原子力を各2ポイント減らしている。               
 CO2を排出しない原発が減り、排出量の多い石炭が増える結果、京都
議定書の公約達成はますます難しくなった。             
 ここで述べている「種類別のエネルギー供給」は、目標ケース、つまり1999年実績より2010年には減少しているケースのみ紹介している。

 ちなみに「基準ケース」の種類別のエネルギー供給での構成比は、石油45.0%、石炭21.9%、天然ガス13.2%、原子力15.0%、水力3.2%、地熱0.2%、新エネ等1.6%としている。

 「CO2を排出しない原発が減り、排出量の多い石炭が増える結果、京都議定書の公約達成はますます難しくなった」と、簡単な説明ですり抜けているが、問題はそう簡単なものではない。

 京都議定書の公約達成には、日本のエネルギー供給源を原発に依存させていかなければ如何に難しいか、強調しない社説に説得力はない。

       (次につづく)