「朝日新聞」(2001年6月29日)

[社説]−−−−−−−−−−−−−「エネルギー需給」

      政府全体で取り組め

<その1>


 このところ「異議あり」の欄に取り上げるのは朝日新聞関連が多くなっているが、何も恨みがあって集中砲撃を浴びせている訳ではない。しかし、朝日の記事や社説はこぞって<反原発>が前提になっており、世論をその方向に向かわせるためなら、多少歪曲させてもかまわない、と思っているのではないか、と勘ぐりたくなる。

 今回の社説も、総合資源エネルギー調査会が取りまとめた日本のエネルギー政策の原案「長期エネルギー需給見通し」の中で、新規建設の原子力発電所の目標値がゼロではなく、「2010年までに10〜13基」としていることが、朝日は気に食わないらしい。

 では、各パラグラフ毎に内容をチェックしてみよう。

 経済産業相の諮問機関、総合資源エネルギー調査会が「長期エネルギー
需給見通し」をまとめた。京都議定書に沿って、2010年までに温室効
果ガスの排出を6%削減する目標に、エネルギー需給面からどう到達する
かという計画書である。                      
 2010年までに温室効果ガス排出量を1990年から6%減らさなければならないとする「京都議定書」だが、われわれはどんなに努力しても不可能と思っている。しかし、議長国としてとりまとめた「京都議定書」をアメリカのようにむべもなく否定することはもっと難しいと思っている。

 今回の「長期エネルギー需給見通し」は、朝日が書いているように、「6%削減する目標に、エネルギー需給面からどう到達するかという計画書」であることに違いはない。しかし、「6%削減目標」達成は非常に難しい。

 ちなみに「見通し」では、エネルギー起源のCO2排出目標量は、2010年度の「目標ケース」は1990年と同じ、また「基準ケース」は<6.9%増>とみているのである。何故なら、1999年度実績で、すでに8.9%増になっているからである。この10年で増えた量と同じ量をこれからの10年で減らすことは、日本経済が破綻でもしない限り不可能であろう。

 3年前につくられた現行計画は「2010年までに原発20基の増設」
を柱に据えるなど、現実とのかい離が目立った。           
 「現実」とは何をさすのか? 朝日新聞を筆頭に原発に反対する国民が結構いるということが「現実」と言っているのであろうが、「調査会」が念頭においた「現実」とは、「1999年ですでに8.9%も増えている」という実績と、「京都議定書」という国際的な約束ごとが存在するという「現実」なのである。

         <次につづく>