■そのG情報に異議あり■


読売新聞(2010年2月25日)


<社 説>=========「地球温暖化」


   不信を広げる研究者の姿勢


(その1)


 社説とは、取材記事とは別格で、新聞社が任命した論説委員によって議論し、 新聞社としての意見、主張を明らかにする欄である。

 しかし、今回取り上げる読売の社説は、地球温暖化に関する学術界におけるス キャンダラスな様相を羅列したに過ぎなく、はたして社説に取り上げなければな らないテーマであったか、はなはだ疑問とするところである。むしろ関係者への 取材を試み、その特集をまず組むべきだったのではないかと思える。

 「温暖化の主因は、人類が出した二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス とされてきた。以前から、これに懐疑的な研究者は少なくないが、両者の論 争は今や、スキャンダル絡みの様相も呈している」            

 二酸化炭素が地球温暖化の主因であると主張する学者・研究者と、それに懐疑 的な立場を取る学者・研究者の両者が存在するなら、まず主要な彼らにインタビ ューを試みるべきである。そしてその報告記事には、もちろん学者・研究者の実 名とその所属機関を明記すべきである。

 自然現象におけるメカニズムや原因を追及するは、科学者の使命であり、その 結果を発表するのは、その主張がそれまでの大勢に反するものであっても、地動 説を唱えて宗教裁判にかけられたコペルニクスの時代ではないのだから、氏名を 隠さなければならないような犯罪者扱いではあまりにも失礼ではないか。

 「ことの発端は『ウォーターゲート』事件になぞらえた『クライメート(気 候)ゲート』事件だ」                         

 「地球温暖化に関する報告書をまとめている国連の委員会「気候変動に関す る政府間パネル」(IPCC)で中心的存在とされる英国人研究者の疑惑が 指摘された」                             

 前段で「犯罪者扱いではあまりにも失礼」と言明したが、ここまで来ると犯罪 事件の様相を呈しているようにも思える。

 CO2が主因とする地球温暖化説は原発推進派の陰謀ではないかと疑われたこ ともあった。そうなれば余計、この英国人研究者の氏名、略歴などを明らかにす べきではないか。

 「その騒ぎの最中、地球温暖化対策の基礎となるこの報告書に、科学的根拠 の怪しい記述や間違いが指摘された。「ヒマラヤの氷河は2035年までに 解けてなくなる可能性が非常に高い」との記述はその例で、根拠がなかった」

 このIPCCの報告書とりまとめにかかわった専門家を洗い出し、可能な限り その一人一人に取材を試みるべきではないか。インタビューが許されないなら、 氏名くらいは取材して明らかにすべきである。

 「IPCCも公式に誤りを認めている。日本人研究者も関与した記述とされ るが、詳しい経緯は明らかにされていない」               

 関与したとされる日本人研究者は誰か、誤りを認めたIPCCの関係者は誰か。 再度申し上げるが、詳しい経緯が明らかになっていない段階で、社説のテーマに したこと自体、たぶんに無理があったのではないだろうか。

 「さらに、IPCC幹部が、温暖化対策で利益を得る企業から多額の資金提 供を受けていた疑惑も報じられている」                 

 ここまで来れば完全に犯罪である。資金提供を受けていたIPCC幹部は誰か、 明らかにしてもらいたい。しかし、それが不可能なら、どこに報じられていたの か、くらいは明らかにすべきであろう。読売の社説にしてはあまりにもお粗末と いわざるを得ない。何度でも申し上げよう。この時点ではやはり社説に取り上げ たことに無理があったのではないだろうか。

 「国内でも、CO2による温暖化説を疑問視する研究者が、東京大学の刊行 物で自説を誹謗(ひぼう)中傷されたとして、東大を東京地裁に訴える事態 が生じている」                            

 国連とは別に我が国の最高学術機関で訴訟にまで発展しているとはただ事では なさそうである。しかし、ここでも関係者への取材がされないまま、その関係者 の実名さえ明らかにされないと、この事件の奥の深さを実感するというより、地 球温暖化への関心が薄まり行くのを感じざるを得ないのである。

 「地球規模の気候変動を正確に把握し予測することは、もともと容易でない。 研究者には、冷静な議論が求められる」                 

 と、読売の社説は締めくくっているが、最後まで論旨がぼやけているように、 僭越ながら思えてならない。どの分野の研究者でも、むしろ熱き議論が求められ るのであって、それをどちらが正しいか、冷静に判断しなければならないのは、 報道機関ではないだろうか。

               「G研」代表


(次ページに続く)