
(その1)
鳩山総理が国連で表明した「2020年までに二酸化炭素(CO2)排出量を
1990年比で25%削減」するや、自民党政権で表明していた「2050年ま
でにCO2排出量を2005年比60%以上削減」などと、大きな数値目標を掲
げても、その具体的な対策が伴わないなら、それは「絵に描いた餅」と我々は何
度となく指摘してきた。
国民の相当な我慢による省エネや国民が高い光熱費を支払うことによって集め た資金を補助金に回して太陽光発電設備をあらゆる屋根の上に設置でもすれば、 この25%減や60%減という削減目標値は達成できるとでも思っているのだろ うか。
このような状況下でも、経済成長を諦めるのではなく、わずかでも右肩上がり が期待できると思っているなら、それはお笑いであろう。
日経にシリーズ「ゼミナール」の「CO2・15%減社会」24回目に次のよ うな指摘があった。
「例えば、現行計画にない地域にも原子力発電所を新設し、定期検査の間隔 を広げて稼働率を大幅に上昇させる。ベースシナリオでは戸建て住宅の半数 への設置を想定した太陽光発電パネルをほぼ全住宅に設置するなどである。 こうした対策をとると排出量は05年の約1割にあたる1億トン強を削減で きるが、それでも長期目標には届かない」
原子力発電所を何基新設するか不明だが、少なくとも現行計画に加えて何基か を新設し、稼働率を大幅に上げる対策をとり、また太陽光発電設備を全住宅に設 置できれば、CO2は2005年比で10%まで減らせるという。原発をいった い何基新設するのか、稼働率をはたしていくら上げるのか、といった具体的な数 を提起されないと明確に賛同できるかどうか分からない。
しかし、いずれにせよ原子力に大々的に頼らなければ、大幅なCO2削減目標 の達成はおぼつかないと、この日経のシリーズ「ゼミナール」は主張しているの であろう。その点は我々の主張、すなわち「原発の健全な推進と電気自動車の爆 発的な普及なくして地球温暖化阻止は不可能」にほぼ近いといえようが、具体性 に欠けている故に賛同できない。
もう一ついえることは、経済成長を妨げるようなCO2削減策に国民の協力は 決して得られることはないだろう、ということである。しかし、日経の記述には 次のような表現があった。
「筆者らが実施したアンケートを分析すると、経済的な豊かさを追求する社 会を望むとする回答者が約20%に上った。科学技術やものづくり、環境技 術で世界をリードし、産業をさらに発展させたいという意識がそこからはう かがえる」
日本社会は「1億総中流階級」といわれるように、大富豪を夢見ている人は案 外少ないのだろう。しかし、「経済的な豊かさを追求する社会を望むとする回答 者が約20%」というのはあまりにも少ないのではないだろうか。
例え日々の暮らしに小さな幸せを感じている人でも、税金や電気代、ガス代が 高くなるよりやすくなる方を望むこと間違いない。地球温暖化は何としてでも阻 止しなければならない。しかし、我慢を強いられたり、税金、光熱費が高くなる CO2排出量削減策より、両者が少しでも安くなったうえに地球温暖化阻止対策 になれば、当然そちらの対策を選ぶだろう。
我々は今こそ人類の英知を結集する時ではないだろうか。
「G研」代表