「反対多数」の重み
<その2>
原子力の安全と行政全体にかかわる不安と不信が、住民投票に影響を与 えたことは間違いあるまい。国は信頼回復に向けた努力を重ねるしかない。 |
ただ、今回の刈羽村の投票だけで「プルサーマル計画をすべて断念せよ」 と主張するのは無理があろう。 |
国内の約50基の軽水炉は電力の30%余を賄っている。そこから出る 使用済み核燃料は、英国とフランスで再処理され、25トン前後のプルト ニウムになっている。 核兵器の材料にもなりうるプルトニウムをためないとの国際公約を守る には、当面MOX燃料化したプルトニウムをプルサーマルで燃やすしか現 実的方法はない。 |
しかし、資源の有効利用という面からすれば、ウランとて有限な資源であることを鑑みて、すでに実用化されている軽水炉の燃料に、国内で生産したプルトニウムも軽水炉の燃料として、いつでも、いくらでも使えるようにスタンバイしておきたいものだ。これが「プルサーマル計画」なのである。
といって、プルサーマルが各地ですんなり受け入れられる状態ではない こともはっきりした。国も電力業界も、強引にことを進めるべきではない。 |
少なくとも、朝日新聞でないことは確かだ。朝日新聞社が主催して、夏の電力のピーク時に合わせて開催している全国高校野球大会を、省エネの観点から取り止めたり、開催期間を春秋の電力需要カーブが谷底になる時を見計らって移動する、といったアイデアもとんと発表されたためしがない。
問題の一つは、政府が高速増殖炉でプルトニウムを使うという核燃料サ イクル政策にしがみついていることだ。 |
高速増殖炉は実用化の見込みがない。なのにそのことを認めず、プルサ ーマルをサイクル時代への「つなぎ」と位置づけたまま、使用済み核燃料 の全量再処理路線を続けているから不信が高まる。 |
国産のプルトニウムの使用の選択肢は多ければ多いほど良い。何もプルトニウムは高速増殖炉に限定した燃料ではない。海外からのウランが入ってこなくなっても、軽水炉の燃料として、プルトニウムを使用しても何ら問題はない。
何故なら、そのプルトニウムは軽水炉でつくられた燃料なのだからだ。残っているウランと新たに生産されたプルトニウムを、一旦軽水炉から取り出し、核分裂生成物など不純物を取り除き、綺麗になったウランとプルトニウムを再度混合し、新しい金属製の管に詰めて加工したもの、つまりMOX燃料が、再度軽水炉で使われるのである。
こういった単純な作業すら、事実を新聞というメディアを通じて報道されなければ、一般国民の「不信は高まる」のも致し方ないだろう。
はっきり申し上げよう。プルトニウムに対する間違ったイメージは、一部のマスコミの一方的な偏向報道にも責任の一端はあると。
この際、展望のないサイクル計画を全面的に見直し、プルサーマルの目 的をプルトニウムの消費に絞るべきだ。 |
仮に「プルサーマルの目的をプルトニウムの消費」に絞り、すでに英仏の再処理工場で分離されたプルトニウムだけをMOX燃料に加工して柏崎刈羽原発で使わせてもらいたい、とでもいえば、あの刈羽村の住民投票で、「反対」に投じた人も、それならと、「賛成」票を投じてくれたとでもおっしゃるのだろうか?
そのようなまやかしの提言に乗って、「サイクル計画」の全面的見直しなどできるはずがない。それだけ、国のエネルギー政策は、長期展望と全地球的は視点から検討されて出来上がったものであるから、それだけ「重い政策」と言わざるを得ない。
「G研」代表