朝日新聞(2009年4月22日)


<あしたを考える>


      核燃サイクルに影


            米 再処理工場断念


(その6)


   <本文転載>


   日本も同じ問題

                                                             

      試運転トラブル続き

                                                          使用済み核燃料の再処理は、プルトニウムなどを取り出すことで資源を有  効利用し、廃棄物を減らせるのが利点とされる。日本はこうした「核燃料サ  イクル」を原子力政策の基本に据え、非核兵器保有国で唯一、商業再処理が  認められている。                                                                 資源エネルギー庁幹部は米の政策転換について「日本の政策に影響はない」 と話す。商業再処理に以前から取り組む日本やフランスはエネルギー自給率  が低い。06年に商業再処理を打ち出した米国とは事情が違う、との見方だ。                                      だが、実は米国の政策転換と通ずる問題を抱える。技術的に克服すべき課  題が残っているし、費用も膨大だ。                                                         青森県六ヶ所村の再処理工場は、建設に2兆1930億円をかけた。今後  40年で、再処理などに約19兆円かかると試算され、電力会社が電気料金  から積み立てているのが現状だ。06年に試運転を始めたが廃棄物を処理す  る工程でトラブルが相次ぎ、本格操業がずれ込んでいる。国産技術に課題が  浮上、生じた損傷の修復にも時間がかかっている。                                                  再処理の先にあるのが、プルトニウムを燃やす高速増殖炉だ。プルトニウ  ムは当面、既存の原発を使いプルサーマルで燃やす計画だが、燃料節約の効  果が小さい。高速増殖炉なら燃料を使った以上に「増殖」できる。50年ご  ろの実用化を目指している。ただ、高速増殖炉は冷却に使うナトリウムの取  り扱いが難しい。原型炉「もんじゅ」は95年にナトリウム漏れ事故を起こ  して以来、止まったままだ。                                                            オバマ政権は核不拡散を念頭に、新施設の建設には厳しい態度で臨むとみ  られる。国は六ヶ所村の再処理工場の次を担う第2再処理工場の検討を、   10年ごろから始める。                                                              鈴木達治郎・東京大客員教授は「今後、核燃料サイクル施設の多国間管理  が浮上するなど、長期的にみると日本に影響する可能性はある」と話してい  る。                                                                       05年に閣議決定された原子力政策大綱で再処理、高速増殖炉路線を選択  した。だが、再処理工場をはじめとする核燃料サイクルの行き詰まりが長引  き、費用がさらにかさむようになれば、撤退を決めた米国のように、見直し  議論が再燃しかねない。                        



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  「国際原子力パートナーシップ(GNEP)」

                                                  使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを核兵器に使いにく  くする技術や、プルトニウムを燃やす新型高速炉を開発する米国主導の計画。 06年2月に構想発表。核燃料製造や再処理は原子力先進国に限り、後発国  に核燃料を安定供給する枠組みづくりを目指した。