「朝日新聞」(2001年5月25日)

[社説]米エネ政策

        多消費型社会の転換を

<その1>

 米国のブッシュ政権が発表した新しいエネルギー政策は、これからの米
国と世界にふさわしいものだろうか。                
 エネルギーや経済の専門家が多角的な方面から検討を加え、現時点で最適な政策と結論づけたからこそ「国のエネルギー政策」と発表されたのある。政策立案に携わっていない者が単純に表面だけで口を挟めるものではない。

 アラスカの野生保護区域での石油・天然ガス開発を解禁する。原発の長
寿命化、新設をめざす。火力発電所には二酸化炭素排出規制をかけず、大
幅増設する・・・。新政策は「エネルギー供給を増やす」という姿勢を、
はっきり打ち出している。                     
 政策の骨格を具体的に提言したことは、高く評価されるものだ

 背景には「米国は石油危機以来のエネルギー危機にある」との認識があ
る。原油価格の安値が続いたこと、環境規制の強化などから、国内では石
油・ガス田の開発や発電所、パイプラインの建設が滞った、としている。
石油の輸入依存度が5割を超えたことも安全保障上の問題だとみる。  
 「喉元過ぎれば熱さ忘れる」といった国民性が各方面ににじみ出る日本とは、大きな違いがある。過去2度にわたるエネルギー危機を経験すると、危機意識がなかなか抜けきれないものだ。

 「石油・ガス田の開発や発電所、パイプラインの建設が滞った、としている」という表現は、「滞った」ことに疑問を投げかけているのか、それとも「環境規制の強化など」が「滞った」原因としているのを疑問視しているのか、いずれかである。しかし、どちらも疑う余地はない。

 また、「石油の輸入依存度が5割を超えたことも安全保障上の問題だとみる」という表現も、なにか奥歯にものが挟まったような表現で、「5割程度くらいで安全保障上問題などといいなさんな」といいたげである。石油消費量のほとんど100%を輸入に頼っている日本の大新聞が、「安全保障上大いに問題」とでも報道したためしがないことでも明らかなように、朝日新聞は「安全保障」の認識は相当低いと想像できる。つまり典型的な楽観論者なのかもしれない。

      <次につづく>