朝日新聞(2009年2月6日)


<科学>


    核燃サイクル正念場


  [再処理工場試運転 16回目の終了延期]


(その4)


   <本文転載>


 ◆米政権交代日本の計画に影響も

                                                         日本の再処理工場は、非核兵器保有国で唯一、プルトニウムの生産を認め  られた施設だ。この施設が正常に動くことを前提に、プルトニウムとウラン  燃料の混合酸化物(MOX)燃料を既存の原発で燃やすプルサーマルや、M  OX燃料製造工場の建設が計画されている。再処理工場がフル稼働すれば、  年間最大800トンの使用済み燃料を処理し、4トン強の核分裂性プルトニ  ウムを取り出せる。                                                                電力各社は、10年度までに原発16〜18基でのプルサーマル実施を掲  げてきた。計画通り進めば年間約6トンのプルトニウムを燃やせる。                                          ところが、プルサーマル実施の見通しが立った原発は今のところ5基で、  燃やせるプルトニウムは年間約2トン。                                                       日本が所有するプルトニウムは、すでに再処理を依頼した英仏に25トン、 国内にも6トンある。国内製造のMOXは後から使う予定で、工場の着工も  遅れている。プルトニウム利用の面では再処理工場の稼働を急ぐ必要はない。                                      だが、各原発で、使用済み燃料プールの容量が足りなくなる恐れがある。  電気事業連合会によると、昨年9月時点で全原発の容量1万9240トンに  対し、1万2320トン分がすでに埋まっている。満杯になれば原発が止ま  ってしまう。稼働しなければ、日本原燃は建設費回収のための収入も得られ  ないため、稼働を急ぎたい意向だ。                                                         米国ではオバマ政権の誕生で、核燃料サイクル推進路線が縮小に向かいそ  うだ。日本国内での核物質の再処理などについては米国が平和利用に限って  認めることなどを定めた日米原子力協定は、18年に期限を迎える。日本の  再処理路線が見直される可能性は、否定できない。前原子力委員長代理の遠  藤哲也氏は「(再処理を動かさなければ核燃料サイクルが回らないという)  日本の立場を、米国に理解してもらう努力が必要だ」という。