朝日新聞(2009年1月17日)


<ワールドけいざい>


    沸騰 インド原発市場


         今後20年で14兆円規模に


(その3)


   <本文転載>


 民生用の核関連技術や燃料の輸入が「解禁」されたインドで、各国政府や 
企業が売り込み合戦を始めた。同国の原発市場は今後20年で1600億ド 
ル(約14兆円)にのぼるとされ、業界の期待は大きい。インドと原子力協 
定を結んでいない日本の企業は、提携する欧米企業を通じて商機をうかがっ 
ている。                  (ニューデリー・高野弦) 


 ■米英仏ロ 売り込み合戦

                                                        今月12日、ニューデリー。米国の原発関連企業約60社の代表と、イン  ドの政界、産業界の代表が向き合った。                                                       米国の企業団を率いるのはGE日立ニュークリア・エナジー(本社・米ノ  ースカロライナ州)のスティーブ・ヒューシック副社長。「我々や東芝傘下  のウェスチングハウスは日本や台湾、中国などで活動し、技術を磨いてきた。 インドでのビジネスにも大きな関心がある」。会合の狙いは原子力プラント  や燃料、技術の売り込みだ。                                                            きっかけは、昨年10月に署名された米印原子力協定だ。核不拡散条約   (NPT)に加盟していないインドに対し、国際社会は長年、核関連の輸出  を認めなかった。だが、インドから要請された米国が主導し、「例外扱い」  を認めさせ、平和利用を前提に米印間で取引の協定を結んだ。                                             会合では、協定締結に米国政府が果たした経緯や、米国の原子力発電量が  世界で最も多いことなども強調した。                                                        インド側からも意見が相次いだ。「米国は(74年にインドが核実験した  後)核燃料の供給を止めた。再びそのようなことが起こるのではないか」   「ロシアやフランス企業より優れているのか」「貧しい人々が利用できる経  費で建設できるのか」−−。米国の一行と政府や地元企業との会合は1週間  で20を超えた。                                                                 インドは、20年までに原子力による発電能力を現在の5倍の2千万キロ  ワットに、32年までに6300万キロワットに引き上げる計画だ。現在、  国営企業が運転する原子炉は17基。20年までに25〜30基が新設され  る見通しだ。インドの技術と限られた燃料だけでは目標の達成は難しい。   「輸入と原発事業への民間参入は不可欠」(インド商工会議所連盟)とみら  れている。                                                                    米国以外の国も負けてはいない。この19日には英国から約50社の企業  代表が売り込みにインドを訪問する。ロシアもメドページェフ大統領が昨年  12月、インドでシン首相と会談し、原子力協定に署名。ロシアによる原子  炉4基の増設に合意した。フランスも9月末に協定に署名。同国最大手で政  府系の企業アレバがインドの国営企業とウランの輸出契約を結び、原子炉の  売却交渉も進めている。                        


(次ページに続く)