
(その1)
資源の少ない日本にとって、国産で賄えるなら何でも利用したい。しかもそれ
が地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量がゼロでないにしても、極端に少
ないなら、それを有効利用して発電に利用しないてはない。こう思うのは自然の
成り行きだろう。
しかし、それには莫大な投資を必要とせず、しかもそこで培った技術が世界の 何処でも利用できるというならまだしも、火山地帯でしか利用できない地熱発電 というのでは、技術大国を自負する日本が進めるべき発電システムとは、とうて い思えないのである。
新年最初に編集された1月3日付け日経新聞1面のトップにもってきた記事に よると、三菱マテリアルとJパワー(電源開発)が秋田県湯沢市で新規に建設し ようとしている地熱発電所は、出力6万キロワットで、建設費は約4百億円だと いう。
この地熱発電所の場合、キロワット当たり67億円ということになる。原子力 発電の場合はキロワットあたり40億円が相場だから、燃料費や廃棄物の処理費 用を差し引いても、地熱発電はかなり高くつくことになる。しかも地熱発電1基 当たり6万キロワットはかなり限界に近い大規模な発電所だろうから、スケール メリットもあまり期待できないということになる。
一方の原子力の場合、いまや150万キロワット出力などは当たり前の時代で、 近い将来的には200万キロワット出力の原発も夢ではない。
日本は地熱資源に恵まれているとはいえ、現在、稼働中の地熱発電所18カ所 の全出力を合計しても50万キロワット強というから、30年以上前の、初期の 頃の原発1基分の出力ということになる。
この高価な地熱発電による電気は、自社で使う電力とするならまだ許されよう が、国民から徴収した税金を流用して建設費の補助に使い、しかも発電した高価 な電力は既存の電力会社に買わせ、やがて我々国民が消費する電力に混合して送 られてくるのだ。その電気代は値上がりし、当然ながら我々消費者が支払うこと になる。
つまりこの地熱発電による電力コストには、国民の税金による投資金額と消費 者としての国民が支払う電気代と、重複して国民が注ぎ込むことになるのだ。
地熱発電には、すでに地下のマグマで熱せられた蒸気を利用するのであるから、 当然、自然の熱源で無料、発電段階には二酸化炭素ガスの排出もない、従って廃 棄物の後処理の心配も不要となると、一見、結構づくしの発電システムというこ とになる。
しかし、「ただほど高い物はなし」というが如く、自然現象を人間が安易に横 取りしてうまくいくとは限らない。太陽光しかり、風力しかりである。
地熱の利用は、せいぜい温泉くらいがいいのではないだろうか。環境アセスメ ントと安全システムの慎重な検討を要するのは当然だが、発電コストの計算も慎 重に行うことも願っておこう。
「G研」代表