(その3)
この連立政権は2005年の総選挙で幕を閉じ、CDUが第一党に返り咲いた
のだが、過半数に達しなかったため、SPDと大連立を組んで、女性のアンゲラ・
メルケルCDU党首が連邦首相に選ばれたのである。北海道洞爺湖サミットには
このメルケル首相がドイツを代表して参加していたから、我々日本人もよく知っ
ているところだ。
コール首相時代、このCDUは大々的に原子力を推進してきたから、メルケル 首相も早く脱原子力政策から脱皮したいところだが、前政権のSPDと大連立を 組んでいる手前、難航しているようで、その苦しい胸のうちは、洞爺湖サミット での発言で明らかになっている。
洞爺湖サミットに参加したG8のうち、日本とフランスは現在も原発の建設を 継続しているし、アメリカ、ロシア、カナダ、イギリスの4カ国は原発の新規建 設を打ち出している。また、イタリアのベルルスコーニ首相が政権に返り咲いて から原子力回帰に向かっているというから、ドイツ以外の先進工業国は原子力推 進を表明したのだ。
残るはドイツだけだが、洞爺湖サミットで原子力単独の宣言が出され、原子力 の役割は一層大きくなった内容が盛り込まれ、そのことにメルケル独首相も加わ って全会一致で採択されたことを考えると、ドイツの原子力回帰も時間の問題で あろうと思われる。
ドイツ連邦の前連立政権で、やむなく原子力廃止の政策が採択されたが、幸い なことに廃止には35年間という長いタイムスパンが設けられたことから、その 方向転換も可能だったということである。その間、風力発電が極力進められてき たが、そのドイツでさえ、風力発電が原発に替わるエネルギー源にはなり得なか ったことを奇しくも証明したのである。
つまり、「風力や太陽光といった再生可能な自然エネルギーの発電を増やすこ とは、温暖化対策の切り札」にはなり得なかったのである。
もし、緑の党がドイツ連邦政権に止まっていた7年の間、原発を「継子扱い」 にしてまで風力を進めてきたのであるから、十分に「温暖化対策の切り札」にな り得たとするなら、サミット参加国のG8のどこかはドイツに見習ったであろう が、先に述べたように何処も同調した国はなかったのである。
このG8以外の、中国、インドといったサミット参加国も、原子力開発に乗り 出しているのである。政情不安定な中東でも建設計画があることから、G8首脳 は、核不拡散(safeguards)、原子力の安全(safety)、核セキュリティ(security) の3つの「S」が、原子力平和利用の基本原則であるとの認識で一致したという。
もし、G8首脳の誰か一人でも原子力に反対の考えがあったなら、原子力平和 利用の基本原則など、思いも寄らなかったであろう。
緑の党のような右翼的環境保護政党にかき回された7年間のドイツ連邦に見習 って、原子力を廃止し、風力発電を手厚くもてなして開発せよ、といった主張に は断固同意する訳には行かないのである。
環境ジャーナリスト、枝廣淳子さんが、この「環境ルネサンス」の同じページ に、伝えることの重要性を書いていられる。我々も同じ考えである。我々が伝え たいところは、地球温暖化を効率よく阻止できるのは、いまのところ原子力をお いて他にないということ、原子力の必要性、安全性を正しく理解して欲しいとい うことである。
「G研」代表