朝日新聞(2008年8月21日)


<ニュースがわからん!>


◆原発の新検査制度って何じゃ?


       国が認めれば、原発ごとに検査間隔を延ばせる


   <本文転載>



 ホー先生 原子力発電所の定期検査のやり方が変わるそうじゃな。    
                                   
 A 原発は13カ月以内に1回は運転を止め、2〜3カ月かけて原子炉や 
タービン、配管などに異常がないかを調べ、部品を交換したり、修理したり 
している。国による約50項目のチェックを受ける。この間に燃料の3〜4 
分の1も交換する。車の車検のようなものだ。              
                                   
 ホ 何が変わる?                          
                                   
 A 来年から、国が認めれば13カ月以内のほかに、「18カ月以内」  
「24カ月以内」に検査間隔を延ばせるようになる。ポンプの振動の監視な 
ど運転中の検査も採り入れる。電力会社は劣化の進み具合などのデータを蓄 
積し、どんな点検や補修をするかを保全計画書にして提出しなければならな 
くなる。国は各原発を5段階評価し、公表もする。            
                                   
 ホ 今の定期検査ではなぜいけないのじゃ。              
                                   
 A 国内の原発55基のうち、運転開始から30年以上たつ原発は14基 
あり、今後も増える。最も古い日本原電敦賀原発1号機は38年だ。04年 
には関西電力美浜原発3号機で未点検の配管が破裂し死者が出た。稼働年数 
や機器の状態に応じた対応を取るとともに広く網をかけ、継続的な改善を促 
す狙いがある。                            
                                   
 ホ 頻繁に検査した方がいいのじゃないか。              
                                   
 A 経済産業省原子力安全・保安院は、一律に検査するのは科学的根拠に 
乏しく合理的でなく、「新制度で安全性は高まる」と説明している。確かに 
分解点検が故障を招くこともある。また、電力業界には状態のいい原発はな 
るべく長く動かし原発の稼働率を上げたいとの期待もある。        
                                   
 ホ どういうことじゃ。                       
                                   
 A 日本の原発の稼働率は6〜8割で、欧米に比べ低い。定期検査の最長 
間隔は米国が24カ月、フランスが18カ月だ。欧米並みにすれば稼働率が 
高まる。7割が9割になった場合、火力に比べて日本の二酸化炭素排出量が 
5%減り、年間1兆円規模の節約になるとの試算もある。         
                                   
 ホ 稼働率優先では困るんじゃが……。                
                                   
 A 国は「24カ月以内」を5年間認めない。それに施行後も、新制度が 
どう安全につながっているのかを丁寧に示していく必要があるだろう。立地 
自治体からも心配する声が出ている。           (佐々木英輔)