誘致のメリットは一時的
清水修二・福島大教授(地方財政論)
地域振興の起爆剤として原発を誘致する市町村の多くは、もともと財政基
盤が弱く、予算規模も小さい。いったん電源三法の交付金・補助金が入り始
めると、あっという間に原発頼みの財政体質に変わっていく。1基の建設費
が4千億円以上の巨額投資だけに、産業構造も建設業への依存度が急激に高
くなる。
だが、税収の柱となる原発の固定資産税は減価償却で急速に減る。財政面、
経済面での効果は一時的なものに過ぎず、膨らんだ財政規模、建設業中心の
経済体質は、なかなか以前の状態に戻らない。
原発が立地する地域は人口が少なく、交通の便が悪く、そもそも企業誘致
には向いていない。原発が生産するのは原材料や半製品ではなく、電気とい
うエネルギーなので、関連産業が育ちにくい特殊性もある。
だから、自治体は「新たな原発を地域振興策の選択肢に」と発想する。逆
に言えば、「原発で豊かになったので、もう原発はいりません」と宣言する
ようでなければ、本当の地域振興は実現していないということだ。
稼働中の原発にも寿命があり、依存できる状況は長く続かない。柏崎刈羽
原発は1年以上も停止しているが、この際、「廃炉シミュレーション」を想
定すべきだ。立地地域の体力があるうちに、将来のことを描いていかなくて
は間に合わない。
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