> 上関原発計画自体が、なおいくつかの問題を抱えていることも忘れてはな >るまい。残念ながら今すぐ建設にとりかかることはできない。知事の同意が得られても、これから電調審の審査を受け、それからも安全許認可などまだいくつもの関門を通らなければならない。それらを一つひとつ通りながら、残された問題も明らかにされ、解決策も見いだされるだろう。万いつ解決策が見いだせなかったら、上関原発の建設は断念せざるを得ない。当然だろう。そのための複雑かつ厳格な許認可システムではないか。
> 上関町は周防灘と伊予灘に面している。周辺には島々が点在し、島民の多 >くは漁業で生計を立てている。 > 万一重大な放射能漏れ事故が起きた場合、瀬戸内海のような閉鎖的な水域 >では、汚染された海水が長らく滞留する懸念は早くから指摘されてきた。島 >に住む人々は、いざという場合、陸上に比べて避難が難しいのでは、という >不安も訴えている。周防灘を挟んで対岸の四国には愛媛県の伊方に、3基もの原発が運転を続けている。それに人間は皆、何らかの生業(なりわい)で生計を立てている。漁業が特別な生業ではない。また、いざという場合などありようがないが、島に住む人々は、陸上に比べ避難が難しい、という説は聞いたことがない。新しい学説だろうか。
原子力の専門家でない方々は、目にも見えない、臭いもしない放射線に潜在的な恐怖感を持っていらっしゃることは異存がない。まして、朝日のような世界的に著名な大新聞の論説委員が、不確かでも恐怖感を与える説を紙面に展開すれば、一般読者の恐怖感は増幅されるのは当たり前だ。学術的な根拠が確かなものでない限り、ジャーナリストの名誉にかけて軽々に書くものではない。
> 関係する八漁協のうち、祝島漁協は強硬に反対してきたが、全体の多数決 >という形で受け入れ派に押し切られたいきさつがある。同漁協は、今年四月 >に調印された漁業補償契約は無効だとして提訴している。多数決という民主主義の原理を、朝日はいつから否定されるようになったのだろうか。祝島には、計画の当初から「オオカミ少年」が入り込み、素朴な住民の方々の心情につけ込み、人々を恐怖に導いたと聞いている。一度、恐怖に苛まれた心は、たやすく元に戻るものではない。
> ほかの立地予定地と比べると、順調に動いているように見えても、あつれ >きやわだかまりはやはり、少なくないのだ。少数派であろうと、時間をかけて議論するのも重要だ。しかし、それはエンドレスに続けていては何も進まない。地元の検討期間が15年という歳月は、決して短くはない。あつれきやわだかまりを完全になくして進められれば、それに越したことはないが、それはあまりにも理想を追い求めすぎている。
> これまで原発立地は、地域の亀裂を、漁業補償や電源三法交付金といった >お金で覆い隠して進めてきたきらいがある。 > 原子力行政への不信が高まっている折から、このやり方を繰り返すだけで >いいか、国も自治体も地元も考え直す必要があるのではないか。都会などの電源消費地が受けるのと同等の恩恵を、電源供給地の人々が許される範囲で受けても、誰にはばかる必要があろうか。何ら問題はない。それらの資金を有効に使うかどうかも、ある程度は、地域開発の専門家などを派遣してお手伝いしなければならないだろう。地域の亀裂があるとするなら、それをこれらのお金で、覆い隠すのではなく、埋めていってもらいたいと願わずにいられない。それほど難解な問題とも思えない。
一部のマスコミを始め、反対派や恩恵を受けない人々のやっかみなどがあるにも関わらず、原子力誘致に勇気をもって行動して下さった地元の方々が、電源三法や漁業補償、協力金など、原発を引き受ける代償として受け取っても、何ら卑下されることはない。ただ、それらを有効に、また地元の人々が公平に、できれば子々孫々に至るまで活用できるものに投資していただきたいと、切に願っている。
> 世界的な脱原発の潮流と、国内の電力自由化の動きの中で、原発を瀬戸内 >海につくることが不可欠なのか。二井知事には、じっくり検討してもらいた >い。もちろん、二井・山口県知事が決断する時は来た。まさに機は熟したといえるだろう。「じっくり検討」しなければならないのは、むしろ朝日の論説委員であると申し上げておく。
日本から原発をなくして、21世紀の日本経済を支えるエネルギー、とりわけ電力はどうするのか、二酸化炭素排出量抑制は何をもってやってゆくのか、じっくり検討してもらいたい。
念を押しておくが、省エネと自然エネでやっていける、といった無責任な主張は、もう通らない。
それでも、もし、その主張を繰り返したいなら、電力消費ピークの時期に開いている、朝日新聞社主催の夏の高校野球を中止し、御社が持つあらゆるビルの屋上から壁面に太陽光パネルを貼り、また、風力発電事業にも積極的に取り組むべきだ。それらを軌道に乗せてから、先の主張も説得力があるというものだろう。
「G研」代表