2000年11月25日付け「朝日新聞」朝刊に掲載の社説、

    「上関原発−−−ゴーサインは慎重に」

の本文をパラグラフごとに転載し、われわれエネルギー専門家集団「G研」の反論を試みる。以下の文の中で右端に > がついている行は、朝日の社説から転載したところである。

> 山口県上関町は瀬戸内海に突き出た半島の先端と三つの島からなる過疎の
>町である。
 それだけ、原発誘致ができるか否かは、この町にとって死活問題といえるのではないだろうか。昔、下関と競って瀬戸内海を航行する船の寄港地として栄えた上関が、かつてのような賑わいを見せるか、原発が電源開発と同時に地元の地域開発との共存共栄策に寄与すると、どうして考えられないのだろうか。

> その半島の先端に、中国電力が百三十七万キロワットの原発二基を建設す
>る計画は、二井関成知事の同意を得て電源開発調整審議会(電調審)へ上程
>するという大きな局面を迎えている。
 上関町議会の「誘致請願」ならびに「誘致決議」から15年、ようやく国の計画に組み入れられるための電調審に上程できるところまでこぎ着けた。地元の方々にとっては長い長い道のりだったであろう。

> だが反対はなお根強い。通産省が主催した先月末の公開ヒアリングは、反
>対派が警備陣とのもみあいになり、開会が大きく遅れた。
 いかなる事をするにも反対する人ががなくなることはない。かつて東京都の革新知事だった美濃部さんが、「一人でも反対する人がいればやらない」とおっしゃった話しは有名だ。かくして多くの都民に便利になることは何もせず、税金のばらまき行政だけを進めたから、赤字財政だけを残して引退されていった話しは有名だ。

 自分の意見が公開の場で堂々と表明できるチャンスを逃すだけでなく、そういう場に参加しようとする人を阻止しようとする人の存在をもって「反対はなお根強い」とは言いがたい。

> 地元の合意が不十分なこと、原発など日本全体のエネルギー供給計画が見
>直されている最中であることなどを考えると、ゴーサインには慎重であるべ
>きだと思う。
 町議会の誘致決議から15年という歳月をかけて、地元住民の方々は真剣に勉強し、議論もされてきた。山口県知事が、そろそろ地元の合意も煮詰まったと判断しても、けっして急ぎすぎではなかろう。日本全体のエネルギー供給計画は何度も見直され、原発なくしてわが国のエネルギー政策ならびに環境政策は成り立たない、という結論を出したではないか。

 原子力政策も、「原子力研究開発利用長期計画(原子力長計)」を、11月24日、原子力委員会が決定したばかりではないか。そこに、「原発の新規建設はもうやらない」などとは、何処を探してもない。そのようなことは、朝日の論説委員なら百も承知だろう。

> 原発推進の立場の人たちが上関に熱いまなざしを注いでいるのは、既存の
>敷地内での増設でなく、久々に新しい場所への建設になるからだ。
 われわれが熱いまなざしを注いでいるのは新規立地に限らない。既存の敷地内での増設でもいっこうに構わない。しかし、原発による恩恵が特定の地域に集中するのでなく、地域開発で助けを求めていらっしゃる地域に行き渡るようできるだけ分散するのが望ましいと思っている。

> 昨年九月、茨城県東海村で起きたウラン加工施設での臨界事故は、原発へ
>の逆風を一段と強めた。今年二月には、三重県の芦浜原発について、中部電
>力が知事の要請を受けて、計画を白紙撤回している。
 これらに関しては機会を見て説明したいが、今回は止めておこう。ただ、いつまでも過去にこだわっていては、事は進まない。特にエネルギーや環境問題は、遠い将来を見据えて考えなければならないと確信している。

> 今年に入って、北海道電力の泊3号機、中国電力の島根3号機の計画が電
>調審を通過したが、いずれも増設である。通産省や電力業界には、上関原発
>が○Kになれば全国各地の計画への追い風になる、との期待があるのかも知
>れない。
 逆風に悩まされ続けてきた。そろそろ「追い風」が吹いてもいいではないか。いや、「追い風」を吹かして原子力開発の遅れを急いで取り戻さなければ、21世紀のエネルギー政策も環境政策も暗礁に乗り上げるだろう。

> しかし、つくれそうな所は早く固めてしまおうという姿勢は好ましくない。
>総合エネルギー調査会が進めているエネルギー政策の抜本見直し論議の行方
>などを見守るべきではなかろうか。
 つくれそうにない予定地にいつまでもこだわって無駄な時間や労力を費やすのは愚の骨頂であり、「つくれそうな所を早く固める」のは当然の常套手段であろう。そのために辛抱強く折衝を続けてきたのだ。

 ところで、総合エネルギー調査会が進めている「エネルギー政策」の改訂には、新規の原発建設を止めよう、といった文言が入る可能性があるという情報でも入手されたのか?日本のエネルギー政策の中に原子力をなくしても成り立つといった専門家がいたら、その具体的かつ建設的な論理を伺いたい。

      <つづく>