朝日新聞(2007年9月7日)

<科学>

西海岸、1000km超の断層

       原発大国・米、中越沖の衝撃

(その1)


 新潟県中越沖地震に見舞われた世界最大の原子力発電所、柏崎刈羽原発の被害 情況は、世界の原子力関係者に少なからぬ衝撃は与えただろうと思われる。した がって、地震からほぼ2ヶ月が経過した9月7日付け朝日新聞科学欄の特集記事 には密かに期待するものがあった。

 しかし記事の内容は、我々の期待を見事に裏切ったものであった。その理由は、 記事の大部分が原子力に反対する市民団体の代表に取材したもので、電力会社の 広報担当者と原子力規制委員会(NRC)の広報部長も取材していることはして いるが、それはほんのおざなりのものであったからだ。

 おまけに最後の結論部分に再度、別の反対派の代表へのインタビューと地元新 聞の論説を引用しているのである。

 記事の大部分を占める証言をしているのは、「原発の安全問題を追及する市民 団体<ブリッジ・ザ・ギャップ委員会>のダン・ヒルシュ代表」で、最後の結論 で引用されているのは「市民団体<原子力情報リソース・サービス>のマイケル ・マリオット代表」である。

 そして、推進派の関係者としてインタビューを受けたのは「南カリフォルニア ・エジソンのギル・アレクサンダー広報担当」と「米原子力規制委員会(NRC) のエリオット・ブレナー広報部長」である。

 特集のタイトルからは、全米に衝撃が走ったかの印象を受けたのだが、記事か らは大部分の原子力関係者が衝撃を受けたのかどうか、全くはっきりしない。む しろ、反対派の市民団体の関係者は、衝撃というより、反対運動の新しいネタが 入手できたと喜んでいるようにも見受けられる。

 原子力発電プラントの耐震設計を担当しているエンジニア、それを審査してい るNRCの耐震担当審査官など、取材しなければならない重要な人は全米各地に 数多く存在するであろう。

 しかし、これでは朝日新聞が反対のための報道を、科学部も含めて全社的に行 っていると見られても仕方がないではないか。非常に残念である。

            「G研」代表

(次ページに続く)