[及び腰の日本]
「独占」に批判■不祥事も後押し
日本では00年から、企業など大口顧客は、どの会社から電気を買うのか
選べるようになった。電力需要の6割が自由化されたことになる。しかし、
実際に大手10電力会社が競争し、顧客の地元ではない電力会社が売り込み
に成功した例は、九州電力の1件だけだ。
ほかの分野からの新規参入会社が電力事業を始めることも認められ、00
年以降に石油、ガス、商社などの参入が本格化した。「競争によって電気料
金は2〜3割も下がった」と、大手電力会社幹部は強調するが、電力需要に
占める新規事業者のシェアは、いまだに数%どまりなのが実情だ。
巨額の投資が必要な水力や原子力を使えない新規事業者は石油系燃料に頼
るため、原油高による発電コストの上昇によって価格面で苦戦。温暖化防止
のため、二酸化炭素排出量の削減目標を掲げる企業や自治体が増えたことも、
石油系に依存する新規事業者には逆風となり、電力事業の縮小や撤退が相次
いでいる。
こうした状況に対して公正取引委員会は「購入先を選ぶ機会は、電気はほ
かの分野に比べて著しく低く、選択の可能性が広まったと評価しがたい」と
指摘。料金は低下しているという業界の主張に対しても「日本の電力価格は
依然として、米国の2倍以上だ」と反論する。
東京電力や北陸電力の原子力発電所での不正が長期間にわたって隠蔽(い
んペい)されてきた事実が発覚したことも、「自由化論者」にとっては追い
風となった。「独占にあぐらをかき、経営に緊張感が失われていたことが、
不正の温床になった」という批判が、ここに来て急速に高まっている。
それでも電力業界や経産省は、家庭用電力の自由化には慎重姿勢だ。「欧
米では完全自由化によって、安定供給に支障が出ている」と指摘。「電気の
ような公共性の高い商品を安定した価格で供給するためには、市場原理にす
べてを委ねず、規制を残すことが、結局は消費者の利益になる」と主張する。
13日からの自由化論議では、「競争市場主義は本当に良いことなのか」
と疑問を投げかける電力業界・経産省と、「もっと競争を進めた方が価格や
サービス面で消費者の利益が増える」という意見が、真っ向からぷつかり合
うことになる。
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