<社 説>==================「プルサーマル」
しゃにむに進めるな
(その2)
(本文転載)
原子力発電所で混合燃料を燃やすプルサーマルが現実味を帯びてきた。 九州電力の玄海原発がある佐賀県の古川康知事が「安全性では納得でき る」と表明した。地元の玄海町も運転を認める見通しだ。これから燃料を 製造するので、実際に発電するまでには4〜5年かかりそうだ。 ただし、住民がまだ十分に納得したとはいえない。自治体や九電はきち んと説明し、議論を尽くす必要がある。 同時に、プルサーマルをどこまで進めるべきかについて、ここで改めて 考えなければならない。 原発でウランを燃やした後、使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、 ウランと混ぜて混合酸化物燃料をつくる。それを原発で使うのがプルサー マルだ。 日本はもともと、プルトニウムを高速増殖炉で使う核燃料サイクルをめ ざしてきた。ところが、高速増殖炉を実用化するめどが立たない。次善の 策として採用されたのがプルサーマルだった。 関西電力と東京電力は2000年ごろにプルサーマルを始める予定だっ た。しかし、関電の燃料で検査データの捏造(ねつぞう)が見つかり、東 電では原発のトラブル隠しがあって、計画は立ち往生している。 電力業界がプルサーマルを急ぐのは、英仏に委託した再処理で30トン 以上のプルトニウムが出ており、これを使わなければならないからだ。プ ルトニウムは核兵器の材料にもなるので、いつまでもためておくわけには いかない。英仏にあるプルトニウムを消費する方法としては、プルサーマ ルは現実的な選択だろう。 しかし、日本国内で新しいプルトニウムをつくり出して、大規模なプル サーマルをすることには疑問が残る。 プルトニウムを混ぜることでウランを節約できるといっても、減らせる ウラン量は1〜2割にすぎない。それなのに、使用済み燃料をそのまま捨 てる「直接処分」に比べ、費用は5〜8割も高い。経済的に見合わないの だ。 さらに地元の反対運動などを考えれば、「2010年度までに16〜1 8基の原発で実施」という電力業界の計画はとても無理だろう。「全量再 処理」にこだわらず、使用済み燃料をいったん保管して、将来、直接処分 も含めて処理方法を選べるようにしておいた方がいい。 玄海原発でプルサーマルを実施するにしても、当面、英仏にたまってい るプルトニウムを使うことに限るべきだ。 地元では昨年12月、隣接する佐賀県唐津市で討論会が開かれ、安全性 などをめぐり推進派と反対派の主張が対立した。 唐津市は昨年の合併で拡大し、原発防災の重点区域である10キロ圏内 に人口の7割の2万7千人が住むようになった。しかし、九電が安全協定 を結んでいるのは県と玄海町だけだ。唐津市の住民の意見も反映できる仕 組みが必要だ。 住民の不安にこたえるとともに、プルサーマルのあり方を根本から考え る。これは新しい計画を始める前提である。 |