<社説>======================>[プルサーマル]
サイクルに踏み込むな
(その2)
トラブルや不祥事で生まれた安全性への不安を解消することが欠かせな いが、そもそもプルサーマルは必要なのかという疑問があることも忘れて はならない。 |
差し迫った事情は確かにある。日本の原発から出た約7千トンの使用済 み燃料は、委託した英仏の工場での再処理がほぼ終わり、約33トンのプ ルトニウムが英仏で保管されている。 |
この分は日本が引き取るしかない。核兵器の原料にもなるプルトニウム をためないとの国際公約を守るには、プルサーマルで消費することも現実 的な選択だろう。 |
しかし、いま問われているのは、プルトニウムの積極的な利用に踏み出 すべきかどうかという大きな問題だ。 |
ほぼ完成した青森県六ヶ所村の再処理工場で、いま国内にある使用済み 燃料を新たに再処理してプルトニウムを作り出すかどうか。これは、すで に海外で処理済みのものとは分けて考えなければならない。 |
日本は使用済み燃料をすべて再処理し、できたプルトニウムを高速増殖 炉で使う「核燃料サイクル」をめざしてきた。しかし、高速増殖炉が実用 化する見込みがないのに、そこへの「つなぎ」と位置づけられてきたプル サーマルを、なし崩しに進めていいのだろうか。 |
プルサーマルはウラン資源の節約もそれほど期待できず、普通のウラン 燃料よりコストが高い。六ヶ所再処理工場が動き出せば、大きな投資が必 要になるMOX工場の建設につながるという問題もある。 |
MOX工場は、何も軽水炉用燃料加工工場にとどまらない。将来、高速増殖炉が実用化され、その燃料の加工が必要になってきたとき、その工場が有望になってくる。高速増殖炉の燃料も、軽水炉の燃料の設計は異なるが、ウランとプルトニウムの混合酸化物であるMOX燃料に違いはない。
ここは再処理工場の運転開始をいったん凍結し、サイクル政策全体を見 直すべきである。その中でプルサーマルの役割と意味をもう一度位置づけ ることだ。 |
核燃料サイクル政策におけるプルサーマルは、それほど重要に考える必要はない。高速増殖炉への「つなぎ」と考えるのでもいいし、軽水炉燃料、ウランの「代打要員」と考えてもいい。つまり、「役割と意味」などと、プルサーマルを大上段に構えて考える必要はまったくないのだ。
何故なら、再処理で取り出したプルトニウムは、元々軽水炉の中で生産されていたから、そこへ戻すことがプルサーマルだから、プルトニウムにとっては里帰りするようなものだ。また、生産と同時に核分裂反応もしていた所だから、MOX燃料が入れられても、ウランばかりを燃料とした軽水炉も、MOX燃料を混入させた軽水炉も、運転上も安全性もほとんど変わりはない。
再処理工場を動かさないと、増え続ける使用済み燃料の置き場所が不足 する。中間貯蔵施設の建設や原発内でしばらく保管する道も同時に探るべ きだ。 |
原子力に反対の人たちは、国内に再処理施設や廃棄物処理施設がない頃、原発を称して、「トイレのないマンション」といっていたではないか。こういった施設が青森県は六ヶ所村に着々と完成してくると、「凍結して見直せ」と主張する。支離滅裂もいい加減にしてもらいたい。
「G研」代表