<社説>「核燃サイクル」
再検討のいい機会だ
(その2)
私たちは中間貯蔵施設の建設を急ぐとともに、青森県六ヶ所村に建設し た再処理工場の運転開始をいったん凍結し、政府が責任をもって核燃料サ イクルを再検討すべきだと主張してきた。 |
わが国の電力を高品質に保ち安定的に供給するため、原子力発電は必要不可欠なのだ。その原子力を滞りなく運転させるための必要不可欠なものとは、正しい情報を国民に提供し、合意を得ることである。
先日、「エネルギー基本計画」が出来上がり、その中に「原子力発電は、基幹電源として推進」と明確に謳われ、「核燃料サイクルの推進を国の基本的な考え」とも明記されているではないか。
ほとんど出来上がっている「再処理工場の運転開始をいったん凍結」までして、何をいまさら「政府が責任をもって核燃料サイクルを再検討すべき」だというのか。あの「エネルギー基本計画」成案には、マスコミの人も含め、多くの人々が議論に議論を重ねて出来上がったものだ。
これ以上、議論や検討を続けていれば、わが国のエネルギー政策は「船頭多くして・・・」となりかねず、いつまでたっても「国策」としてのしっかりしたエネルギー計画が完成しなくなるだろう。それこそ危険極まりない。
コストは政策選択の重要な要素だが、今回の試算だけでは不十分である。 もっと多くの条件によるコスト比較が必要だ。 |
今回はプルサーマル方式だけを想定しているが、原子力政策に責任をも つ原子力委員会はあくまでも高速増殖炉によるサイクルの完成をめざして いる。そうなるとコストは変わってくるはずだ。 |
再処理工場は運転開始から数年たてば100%の稼働率で動くとしてい る。稼働率がもっと低くなればどうなるのか。なによりも、使用済み燃料 を再処理せずに、中間貯蔵施設にためておく場合と比べて、どのくらい割 高になるのか知りたい。 |
そのような無駄な試算は、当事者ならやらないだろう。現時点で考えられる妥当な条件を盛り込んで計算するのが常識ではなかろうか。
電力業界がコスト試算を公表した背景には、2兆1千億円をかけた再処 理工場がほぼ完成したことがある。また、工場に使用済み燃料を搬入でき なければ、各原発の敷地内にある貯蔵プールが満杯になって原発が運転で きなくなると心配している。 そうした事情があるにせよ、まずは原子力政策をより合理的なものとす ることが先決だろう。そのために必要なのは、原子力政策を硬直化させて いる「使用済み燃料の全量再処理」という足かせをなくすことだ。そのう えで、様々な選択肢について、経済性や資源の節約量、安全性、核不拡散 などの面から検証すべきだ。 |
もっとも使用済み燃料の中に資源がなくとも、環境への影響を配慮して、厳格な基準でもって処理するのは当たり前で、石炭火力の灰などと同様、環境に放置していいはずはない。
再処理工場は溶接の不正工事が見つかり、運転開始が06年7月以降に 延びた。その時間を有効に使いたい。 |
「G研」代表