
日本経済新聞(2003年8月2日)
新潟県柏崎市の使用済み核燃料税
<その1>
この日経新聞の囲み記事の内容は間違っていない。しかし、使用済み核燃料にまで課税して税収を上げようとする地方自治体の台所事情はどうなっているのか、原子力発電所にかかる税金には如何なるものが既に存在するのか、国、都道府県、そして自治体の原子力発電所との税を通した関係はどうなっているのか、といった視点などからもっとつっこんだ記事を掲載してもらいたかった。
経済紙なら当然そこまでつっこむべきではないだろうか。したがって、この記事を「異議あり」の部類に入れることにした。
火力、水力など他の電源と比較して発電コストの安い原子力発電といえども、もっと経費を押さえろ、という指摘がある。他の先進工業国のそれと比較して高いと思われている日本の電力料金を下げるため、発電コストを下げる努力をせよとのお達しだ。
一方、原子力発電所の安全性は、国民が安心に耐えるほど念には念を入れろというお達しだ。これにまともに応じていれば、発電原価を押し上げることになる。おまけに今度は地元自治体の使用済み核燃料税の新たな追加だ。
これでは発電原価はますます上昇することになる。しかし、電力事業の自由化で価格競争が激化することを考えると、電気料金を原価に単純にスライドして上げるわけにはいかない。となると、保守点検業者に泣いてもらわなければならない。定期検査での停止期間を短縮し、人件費のできるだけ安いところに発注せねばならないからだ。
今回の停電騒ぎのように、発電所の再起動は、地元の了解が取れなければ、にっちもさっちもいかない。電力会社は地元の地方自治体に首根っこをつかまれているようなもの。この状態で新たな税金に納得しますか、と問われた電力会社も、渋々ながらも同意せざるを得ないわけだ。これを個人でやれば「脅迫罪」に問われること間違いなさそうである。
そもそも核燃料に対する税金は地元の都道府県に支払われており、その税収は地元の関係市町村の自治体に分配することになっているが、各自治体のとり分は各県の裁量に任されているから、不満が出るのも無理はない。
こういった分野の行政指導こそ、国の総務省なり経済産業省なりが出ていかなければならないが、自分たちの徳にならない分野にはまったく手を付けようとすらしないのが現状だ。
こういったことも含めて、日本経済新聞は関係者に取材して記事を組み立ててもらいたかった。
「G研」代表