日本経済新聞(2003年4月6日)

<電力危機>                            
                                  
 首都圏で電力危機が迫っていると聞きました。本当に停電が起きるので 
しょうか。原因は何ですか、イラク戦争の影響は?           

■ステップ2・どうして?                      
                                  
    ===増え続ける需要===                 
                                  
 東電と経済産業省は対応策を打ち出しましたが、決め手に欠けます。大 
口顧客に電力利用を減らすよう求めているものの大きな効果は期待できま 
せん。一般家庭でパソコンや二台目のエアコンの普及などで電力需要は増 
加傾向にあります。                         
 政府は停電を避けるために法律で大口顧客の電力利用や昼間のネオンな 
どを制限することができます。しかし、経産省は「検討していない」(電 
力基盤整備課)と消極的です。そうなると原発以外の発電量を増やすしか 
ありません。特に石油を燃やす火力発電を拡大しています。休止状態だっ 
た発電所も動かしています。2年5カ月ぶりに再開する発電所もあります。
 ところが、その燃料に問題があります。イラク戦争です。東電は200 
2年度に原油やLNG調達を大幅に増やし、今年度も同様の傾向が続いて 
います。LNGの一部は中東から輸入しており、戦禍が拡大すれば影響が 
避けられません。                          
 また、日々の電力をやり取りしている東北電力とは別に、北海道、北陸、
関西、九州各電力から余った電気を買う計画もありますが、危機回避の決 
め手にはなりません。東電以東と中部電力以西では電流の周波数が異なり 
ます。送電に必要な転換設備が90万キロワットまでしか対応できないな 
どの制約があるからです。                      
 停電を回避する方法として、(1)国民に省エネを呼びかける、(2)火力発電所をフル稼働する、(3)他の電力会社から融通してもらう−−−これら3つの方法しかないというのが日経の主張だ。

 (1)の国民に省エネを呼びかけて夏場の需要の増加を出来るだけ押さえる方法は、大口需要家を中心に働きかけるのだが、あまりにも他力本願なるが故、この効果は正確な数字で予測することが難しい。

 (2)の火力発電所をフル稼働させる方法は、石油やLNGを大幅に増やして調達することが可能かどうかにかかっている。特に石油の輸入先は、イラク攻撃が続いている危険な中東だから、これも非常に難しいと言わざるを得ない。

 (3)の他の電力からの融通だが、夏場に電力が有り余っている所は少ないから、周波数の違いは解決できるとしても、かなり難しい。

 では、東京電力が供給している首都圏の停電回避はもう万策ついたのか、といえば「ノー」である。

 そもそも、なぜ停電の危険性が生じたのか? 原発を停止して安全性を再確認する必要性が生じたからである。それならその原発を安全性が確認でき次第、順次再開させれば停電は回避できるのである。

 幸いにも東京電力の検査・改修作業は順調に進み、国の規制当局の安全確認もすんでいる何基かの原発はすでにスタンドバイしている。問題は地元の「ゴーサイン」がいつ出るかにかかっているのである。

       「ステップ3」は次ページに