ところで先生は、事故発生から約1週間後の10月8日に、東海村をご視察されました。その時、JCOの問題の工場にも立ち寄られ、「驚いたことが2つあった」とおっしゃっていますね。その一つが「裏マニュアル」のことで、もう一つがフィルム・バッジ不携帯のことでしたね。

[P.57]
>私が「新聞報道によれば裏マニュアルですね。裏と表とはどうちがうのです
>か」と聞くと、担当部長は「裏マニュアルなんかありません」と言下に答え
>た。「それじゃあ新聞記事は間違いですね。どういうマニュアルがあるので
>すか」と詰め寄ると、「非合法のマニュアルが1つあります」と。私は当然、
>正式なマニュアルがあって、それを少し端折った裏のマニュアルがあると考
>えていただけに、仰天したわけです。
> もう一つはフィルム・バッジのことです。放射線管理区域に入るには必ず
>フィルム・バッジ着用が法律で義務づけられている。新聞報道では被曝した
>三人はどうも付けていなかったようだという。そこで、事故当日は何人が管
>理区域に入り、何人がバッジを付けていたかを尋ねたが、とうとう答えられ
>ませんでした。
 JCO関係者への先生のご質問は、新聞記事を引用されたものばかりで、生情報に基づくご質問ではないことが残念でなりません。恐らく、先生は、科学技術庁長官であり、原子力委員長でしたから、日本人の誰よりも正確な情報を手にされていたはずです。また、そうでなく、先生もマスコミ報道から得る情報の方が量も多く、正確だったなら、これは日本の原子力行政の一大事です。

[P.58]
>科技庁に置いた政府事故対策本部の会合で私が言ったことは、国はこういう
>状況だから、どういうことをしたほうがいいとの助言をするのが義務であり、
>住民は避難すべしとか、部屋に退避すべしというようなことは、あくまでも
>自治体が行うことだ、としていたんです。状況を正しく判断して、それを県
>および村、町に伝えるべきである、ということを繰り返し言っていた。
 こういう事故の時は、何処までが国の責任範囲で、何処からが自治体の責任、などとはいっておれないのではございませんか。混乱する自治体に代わって、政府が的確な非難勧告なども出しても、誰が文句を言いましょうや。

> ただ、あとで考えると、その情報をどういうチャンネルで伝えるのかとい
>うことについて、十分態勢が整っていなかった。だから県知事もご不満であ
>った。現地の事故対策本部には、県からも東海村からも人が入っているので、
>知事や村長に当然十分に連絡がいっているだろうと思っていたのですが、そ
>れがちゃんとした格好ではなかったのですね。
 このところはまさしく先生の関係大臣としてのご経験の浅さをご自分でお認めになっているところでしょう。トップはご自分の判断で、関係自治体のトップとも意思の疎通を図っていなければなりません。

        (つづき)