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読売新聞(2012年1月8日)


<社 説>================「原発の新規制」


      唐突な「40年で廃炉」の方針


(その3)


   <本文転載>


 原子力発電所の運転は原則40年以上は認めないことなどを柱とする、原 
子力安全規制の新方針を政府がまとめた。                
                                   
 これを盛り込んだ原子炉等規制法の改正案を、新たな原子力規制組織であ 
る「原子力安全庁」(仮称)の設置法案などとともに、今月召集される通常 
国会に提出するという。                        
                                   
 東京電力福島第一原発の事故の後、福井県など立地自治体から、原発の老 
朽化を問題視する声が出ていることを重く見た。             
                                   
 海外では、脱原発を掲げる国を除き、法律で原発の「寿命」を規定する例 
はまれだ。今後の電力供給の在り方を巡る政府内の議論も続いている。唐突 
すぎないか。                             
                                   
 国内では、廃炉となる福島第一原発の4基を除く50基のうち、15基が、
すでに運転30年を超えている。うち2基は40年以上だ。原発は急速に減 
ることになる。                            
                                   
 延長申請があれば、老朽化を評価したうえで認める場合もあるとしている 
が、細野原発相は「極めてハードルが高い」と言う。           
                                   
 事故前、原発は電力供給の約3割を担っていた。それを何で代替するのか。
風力発電や太陽光発電では、まだ力不足だ。               
                                   
 廃炉に伴う課題も多い。政府は廃炉費を一基約500億円と試算し、電力 
会社による費用積立制度も設けている。だが、積み立てが本格化して約10 
年のため、廃炉が相次ぎ廃棄物が増えると賄えない。専門の人材も少ない。 
                                   
 さらに野田政権は原発輸出を目指している。原発が次々消える国では国際 
的信用も得られまい。                         
                                   
 原発の寿命を定めるのなら、新設に向けた政策を、将来のエネルギー政策 
と絡め検討すべきだ。世界トップクラスの安全性を備えた原発に置き換えれ 
ばいい。                               
                                   
 それまでは、既存の原発を、安全性を十分確認したうえで利用していくこ 
とはやむを得ない。                          
                                   
 今回の新たな規制方針にも、その条件は盛り込まれている。       
                                   
 まず、原発で大きなトラブルが起きても重大事故につながらないよう、法 
律で電力会社に対策を求める。最新の安全基準や技術を、既存の原発に、迅 
速に反映させることを義務づける「バックフィット」という仕阻みも導入す 
る。                                 
                                   
 これらは従来、電力会社が自主的に取り組んできた。だが、それが今回の 
事故の要因となった。                         
                                   
 すでに国内の原発は定期検査で次々に停止しており、再稼働のめどが立っ 
ていない。新たな規制方針が、これをさらに遅らせることのないようにして 
もらいたい。