■これは同感できるG情報■


日本経済新聞(2011年10月10日)


<核 心>================編集委員・滝 順一


   科学者の信用 どう取り戻す


            真摯な論争で合意形成を


(その1)G研のコメント


 目にも見えない、臭いもしない放射線とは、一般の方々にとって非常にやっか いで不気味なもののようである。しかし、原子力工学などで放射線の概念をちょ っとかじった者にとって、放射線や放射能など「恐れるに足らないもの」と認識 しているのである。

 何故なら、放射線や放射能の極微量まで、最近出回っている粗悪品は別として、 簡単な測定器でしかも非常に正確に測定できるからである。しかもその放射線の 発してきたヨウ素131やセシウム137といった放射性物質の核種まで簡単に 知ることが可能だからである。

 また、放射線の生物への影響に関するデータも、動物モルモットによる実験デ ータはもちろんのこと実際の生きた人体への影響データが豊富にあって、極わず かな自然環境における低レベルの放射線から、中間レベルのエックス線透視検査 によるデータ、それに致死レベルに近い高レベルの放射線によるデータも広島、 長崎への原爆投下やその後の核実験による影響データなど、種類と量においては 他の危険物、例えば水銀や農薬、ヒ素といった毒素などと比較しても格段に知ら れているといえるだろう。

 ただ、原子力開発に批判的な学者といわれる人たちは、放射線の人体への影響 を針小棒大に表現して一般の人たちに恐怖感を助長させているケースが多分に見 られるから、この分野においては特に真摯な「学術的な論争」はなかなか成立し 得ないのが現状である。

 放射線の人体への影響調査は、19世紀の終わり頃、キュリー夫人がポロニウ ムやラジウムといった放射性元素を発見したころから丸々1世紀を越えて続けら れてきたのであるから、その「学術的な論争」は終焉を迎えているといっても決 して過言ではない。

 今回紹介する日経新聞の滝順一・編集委員がまとめた「核心」は、「3.11」 の原発事故を経験して、政府から発表される「この程度の放射線量なら直ちに人 体に影響するものではない」といったフレーズが、一般の人たちにとって非常に 分かりづらく、余計に恐怖感を煽る何ものでもなかったことから、「学術的な論 争」を示唆するものとなっている。

 「放射線の人体への影響」に限らずあらゆる分野で「学術的な論争」は大いに 結構だし、また一般の方々がこれらのテーマに関心を持つべきだとする「核心」 の論旨にも異論を唱える余地がないことから、ここでは「同感」に分類して紹介 することにした。ただ、詳細については「異議」を発したいところもあるから、 それらを含めて検証してみよう。

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