電気新聞(2002年1月10日)
▼その欧州の事例だが、顔の形が異なり肌の色が違うように、様々な姿を 見せていて面白い。国の歴史や文化、政治制度などと合わせて検証し、先 行事例の光と陰を知ることは、日本的なシステムを構築する上で大いに役 に立つはずだ。 |
▼ただ一つだけ注文がある。「温故知新=故きを温ねて新しきを知る」と 言う言葉もある。昔のことを究め、また古い事柄を復習しながら、新しい 知識や道理を見つけることと旺文社の「成語林」にあるが、現在の日本の 仕組み、今日に至る歴史についても、検証の対象に取り上げてほしい。 |
▼いまアメリカで進んでいる規制緩和の試みはアメリカ的業界再編成であ り、必ずしも新しい試みと言うことでもない。第二次大戦前に日本の電気 事業者が経験した「昭和初期の混乱」に共通するところも多々あるように 思える。戦後の再編成時に欧州的公益事業かアメリカ的公益規制か、激論 したとも聞く。 |
昭和初期の電気事業の混乱期を検証すれば、自由化などといった政策を進めることはできなくなるだろう、と言いたいのだろうか?
▼今は十年一昔どころか三年一昔と感じるほど、変化のスピードは速い。 しかし発電所にしても送電線にしても、事業者が誰であろうとある規模以 上の大きな電源設備は建設を計画してから完成までに、五年、十年の歳月 を要する現実がある。計画経済的な側面を求められる事業である。 |
▼経営に無駄があってはいけないし、消費者にとって価格は安いほうが良 い。でも「電気のユニクロ化」は叶わぬ願いである。電気の生産拠点を賃 金の安い海外に求めることは出来ない。重い現実がある。既得権を守れと 言うのではないが慎重な検証を。 |
変えることができない現実をしっかり認識してくれなくちゃ困るよ。電気代なんてそう安くはできないって。ただ言っておくが、既存の電力会社など、当業界の既得権を守ってくれと言ってるのじゃないよ、という意味のようである。
色々文章の批判はしてきたが、それでも我々は、このコラムを「同感できるG情報」に加えておきたい。原子力推進との両立は非常に難しい電力事業の自由化は、決して急がせてはならないと、信じて止まないからだ。慎重な「検証」を願うのみである。
それにしても、電力業界を代表して、もっとストレートに議論をふっかけるべきだろう。奥歯に物が挟まっているような論調では、行政府も含めて、読者の同調は期待薄であることを認識するべきである。
「電気新聞」を日本のエネルギー事情を最も正しく理解し、それを的確に報道するメディアと期待するからこそ、敢えて苦言を呈してみた。悪しからずご理解願いたい。
「G研」代表