「HOYAさん、あんたもか?」といいたいところだが、電力を十分に供給さ れない今の状況なら、海外移転も仕方ないだろう。恐らくソーラーなどの自家発 電も検討済みだろうが、自然エネルギーによる電気のコスト高はもちろんだが、 電圧などの激しく変変化する質の悪い電気では、半導体用素材の生産には致命傷 ともいえよう。自然エネルギーによる自家発電では対応できないという判断でな のである。
高度な技術を要する生産工場といえども、自社社員を全員シンガポールまで連 れて行く訳にも行かないだろう。従って、何人かは現地の労働者を雇うことにな り、日本の社員の何人かは解雇ということになろう。それだけ日本国内の失業者 数を増やすことになり、また、税収も減ることになる。
「三井金属はスマートフォン(多機能携帯電話)向けの半導体に使われる特 殊銅箔(はく)を、埼玉県内の工場でつくっている。24時間操業が欠かせ ないが、東京電力の計画停電で生産ラインが1カ月近く停止。来年4月まで にマレーシアに予備ラインを新設することにした」
このように日本企業の海外移転に関する具体例を聞かされると、胸が締め付け られるような傷みを覚える。
「経済産業省が5月にまとめた大手メーカーなどへのアンケート(回答16 3社)によると、震災の影響で海外移転が加速する可能性が『ある』との回 答が69%を占めた。その後、電力不足が全国へ波及、企業の不安は増して いる」
海外移転を前向きに検討している企業は大手メーカーの何と7割近くあるとい うことである。これは何ともゆゆしき問題といわざるを得ない。しかもその原因 が「電力不足」にあるというではないか。
このことを原発立地を抱える全国の知事さん達に重く受け止めてもらいたい。 そして、定期点検を終えて原子力安全・保安院からもゴーサインをもらっている 原発の再稼働にはなるべき早く了解してもらいたい。
原発の安全性は、原発を所有している電力会社が最も厳格に受け止めているも のだということを理解してもらいたい。少しでも安全性に自信が持てない時には、 電力会社が自ら運転を見合わせるものだということ。何故なら安全チェックに手 を抜き、ずさんな定期検査をして事故でも起こせば、最も被害を被るのはそこに 働く自社の社員であり、電力会社の高価な財産であるからだ。ずさんな安全性チ ェックによる危険性が及ぶのは自分自身であることを最も深く認識しているのは 電力会社自身である。
「原発を止めて火力発電に切り替えると、温室効果ガスの問題が生じる。江 田五月環境相は12日の衆院復興特別委員会で、全原発が停止するケースで は、来年度の二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量が、最大2. 1億トン増えると報告した。1990年度比15〜16%増に相当する」
日本が京都議定書で世界に約束した目標は、2008年から12年までの5年 間の平均で、温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減するというものであ った。それが54基の原発すべてが停止し、その大部分を火力で肩代わりさせる となると、温室効果ガス排出量は「1990年度比15〜16%増に相当」とい う。6%削減という約束からはるかに及ばないということを意味する。
「民主党政権は「2020年に25%削減」の目標を掲げているが、原発が 全停止した場合の影響は『20年度時点でCO2=19%増に相当する』 (環境省)ため、目標達成は絶望的となる」
自民党から政権を奪い取った民主党政権の鳩山前総理は、喜び勇んで国連に乗 り込み誇らしげに演説した内容が「2020年に25%削減」であった。削減ど ころか19%も大幅に増加させる見込みだというから、世界は滑稽に見ているだ ろう。
今年の猛暑、大型台風の上陸、局所的な豪雨・・・すべてが地球温暖化による 気候変動と見るのが妥当であろう。
地震予知や国の防災計画を過信しすぎたことによって起こしてしまった福島第 一原発の事故による教訓を踏まえ、原発の大事故は二度と起こさないという気概 で取り組んでいるだろう。厳しい安全性のチェックを終え、再稼働に向けてスタ ンバイしている原発だけでもいち早くゴーサインを出してもらいたい。
震災の復旧・復興のため、日本経済は早急に立て直さなければならない。脱原 発を含めた我が国エネルギー政策の抜本的見直しは、もう少し先でもいいではな いか。
「G研」代表