<その2>

<社説>==[電力自由化]

         競争と安定供給の両立を図れ

                 読売新聞(2001年11月5日)


 一方、規制緩和で先行した米国では、カリフォルニア州の停電を契機に、
自由化を見直す機運が高まっている。                
 戦後のいわゆる9電力体制下での既存の電力会社が、かつての国鉄や電電公社のように不安定な経営状態なら、行政の指導で自由化も急がなければならないが、実態はその逆で、総合的な評価は優秀で、日本の経済の屋台骨を支えてきたと、誰しもが認めるところであろう。

 一方、自由経済の中でいつまでも地域独占は好ましくないとするなら、自由化も致し方ないが、だからといって急ぎすぎると、「うまくいっているものまでうまくいかなくなる」こともあり得るのである。

 自信を持って自由化を先行させてきたはずのカリフォルニアであっても、あの危機的停電騒動があったではないか。当のアメリカでは自由化の見直しを進めているというから、優秀な日本の電力事業の急ぎ気味の自由化の見直しは、当然あってしかるべきと考える。

 調査会は、こうした内外の情勢を見据え、競争促進と安定供給を両立さ
せる自由化の枠組みを示さねばならない。              
 そのとおりである。

 電気事業連合会によると、今年2月の標準的な家庭用電気料金は、ニュ
ーヨークが東京よりやや高いものの、ロンドンは45%、パリは44%も
安い。この内外価格差を縮めるため、電力市場の競争をさらに強める必要
がある。                             
 ここで引用されている資料は、11月5日に開かれた総合資源エネルギー調査会の第一回電気事業分科会で配布されたものと思われる。その資料の「使用形態を統一したモデル料金比較」のデータを転載し、かつまた日本との比較をパーセンテージで表示してみよう。

        使用形態を統一したモデル料金比較
                           (円/kWh)
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      日 本  アメリカ  イギリス   ドイツ  フランス
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 家庭用 23.18 24.46 13.21 17.07 13.17

 産業用 13.65  9.68  9.17  7.78  6.37
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                               (%)
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      日 本  アメリカ  イギリス   ドイツ  フランス
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 家庭用 100.0 105.5  57.0  73.6  56.8

 産業用 100.0  70.9  67.2  57.7  46.7
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 家庭用は2001年9月、産業用は2000年2月に電気事業連合会が調べたものだそうである。家庭用は290kWh/月の使用時、産業用は契約電力4,000kWで、年間稼働時間4,000時間のモデルで計算した1kWh当たりの単価で表示されている。

 また、円への換算に使用した為替レートは、家庭用が2001年9月、産業用は2000年2月当時のものだそうである。

 このままで見る限り、日本の電気料金は、アメリカの家庭用電気料金をのぞいて、割高になっている。しかし、それぞれの国の公共料金、例えば、電気料金の他に水道料金、ガス料金などを比較する場合、単に為替レートを使った換算だけで比較していいものだろうか。

 それぞれの国の平均収入や物価指数などとも換算しないと公正な比較にならないと考える。

 色々な資源に恵まれたアメリカ、イギリス、ドイツは別格にしても、日本と同じように資源の少ないフランスの電気料金が、産業用の比較に至っては日本のそれの半額以下という数字が出ている。

 何故か? 早くから精力的に自由化を進めてきたからか? 答は「ノン」である。理由は簡単、総発電量(kWh)の7割以上を割安な原子力発電で賄っているからである。

       (次につづく)