<その1>

 「21世紀のエネルギー選択」と題するシンポジウムが開かれ、その内容は、10月26日の読売新聞に詳細に掲載されている。そのシンポジウムで基調講演を行ったのが、我々の先輩、近藤駿介さんであった。

 東京大学大学院工学系研究所の近藤教授は、ここでも何度か紹介したと思うが、日本が誇る、原子力の安全技術の第一人者から、いまや日本のエネルギー政策分野の第一人者といっても決して過言ではない。

 その近藤先生の主張はもちろん全面的に「同感」できるのであるが、その説得力には改めて感服した。まずは、読売新聞に掲載されていた同氏の基調講演の要旨の全文を転載する。

[基調講演]      近藤 駿介(東京大学大学院工学系研究所教授)
                                 
        省エネ行動 国民に問う              
                                 
                読売新聞(2001年10月26日)

[1]
 エネルギーは我々の生活や福祉の向上に欠かせず、国内総生産(GDP)
が増えればその消費も増えるという構造になっている。        
                                 
[2]
 エネルギー供給の90%が化石燃料によるものだが、化石燃料を燃やせ
ば二酸化炭素の濃度が上昇し、地球温暖化が進むと懸念されている。温室
効果ガスの濃度を百年後に産業革命前の二倍ぐらいに抑えられるよう、社
会構造を変えていく必要がある。                  
 パラグラフ[1]と[2]は、当たり前の話だが、その当たり前の論理がともすれば通らないときがある。特に原子力反対論者や環境保護論者の一部と噛み合わないときがしばしばあるから、この当たり前の話を「前提」として進めなければならないのである。

 で、ここの所は近藤先生の表現で十分だが、あえて繰り返しておこう。

 我々の暮らしや福祉をよくするためにエネルギーの消費は不可欠。特に、エネルギーの供給量が不足したり、エネルギーの価格が急騰すれば、最も影響を受けるのは弱者で、それが福祉への影響を意味する。

 わが国のエネルギー事情は、未だに化石燃料、すなわち石炭、石油、天然ガスに9割方依存している。この化石燃料を燃やせば燃やすほど、二酸化炭素の放出量が増え、それだけ地球温暖化が進むことになる。

 人々の暮らしの水準を落とさないためには、人口増程度のエネルギー消費は仕方ないとしても、その主要なエネルギー源である化石燃料の依存度をまず減らさないと、地球温暖化を止めることはできない。

            (次につづく)