・−[ウェーブ=時評]−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−・
中村 政雄
<その2>
では何故EUはこれ程までに京都議定書を堅持しようとするのか? 中村氏の文の5段第2のパラグラフを引用してみよう。
欧州連合(EU)の考え方は違う。欧州諸国は経済成長よりも環境を重 視する。だから緑の党の勢力が広がった。その底には、がむしゃらに働い て稼ぐより、適当に人生を楽しみたいという生き方がある。 |
京都議定書を実行すれば温室効果ガスが減るといわれているが本当だろ うか。日本は温室効果ガス削減目標6%を国際公約している。6%のうち 3.8%は森林によるCO2の吸収である。 この森林吸収がくせ者である。1990年に比べ2010年ごろの日本 の森林のCO2吸収量が3.8%増えると思ったら大間違いだ。2010 年ごろの日本の森林のCO2吸収量は、日本が吐き出すCO2の3.8% (炭素量で年間千3百万トン)だというだけで、この20年間に森林の吸 収量が増えるのではない。 森林の吸収量は1990年も2010年もほとんど変わらない。 日本は1990年に比べ2010年ごろには温室効果ガスを6%削減す る、というのが京都議定書。そのうち森林の吸収分として3.8%を認め るということは「3.8%は削減控除、実質は6%から3.8%を引いた 2.2%しか減らしません」と宣言することなのである。 どう考えてもおかしい。これで「6%削減」と言えるのか。 |
ところがそうではなかった。「日本には緑が多いから、森林によるCO2の吸収量も多いはず。だから、6%の削減目標のうち、すでに3.8%は森林によって削減されたと計算していいですよ」ということになり、何のことはない、EU諸国らの温情によって6%から3.8%差し引いた2.2%まで一気に少なくなったのである。
つまり、「京都議定書に盛り込まれた日本の削減目標を半分以下に負けてあげますから、いつまでも勝手なことをいうアメリカに係わっていないで、日本とEUが手を結んで速く批准しましょうよ」ということだったらしい。
「京都議定書の欺瞞」その2は、発展途上国の削減免除の考えもおかしなことだが、そういった国々との削減量のやり取り、取引があることだ。先ずは中村氏の分かりやすい文章を引用してみよう。
おかしなことはほかにもある。日本の技術援助で外国の火力発電の効果 が上がったら、その効率アップ分に相当するCO2量を日本が減らしたこ とに勘定する共同実施やクリーン開発メカニズムもまやかしである。 たとえば、中国が日本の火力発電技術を導入して発電所を建設したとす る。旧式の火力発電所に比べると熱効率は格段にいい。同じ量の電力を生 産するのに、発生するCO2量は少なくてすむ。だが、どんなに優れた火 力発電所であっても、それを増やせばCO2の発生量は増える。 ところが、日本の技術的貢献によって旧式発電所を建設するよりCO2 の発生量を減らすことが出来たと判定し、その差額分だけ日本はCO2を 減らしたと勘定するのがこの制度である。 中国で日本技術の火力発電所が増えれば増えるほどCO2の発生総量は 増えるのに、日本が減らしたと勘定するのは、どう考えてもおかしい。 |
だから、中国はいくら旧式の火力発電所を建てても誰はばかることはない。ないが、もしお人好しの日本が技術援助でCO2の発生量の極端に少ない新式の火力発電所を中国大陸に建設してあげればあげるほど、その中国製の[旧式発電システム]マイナス日本製の[新式発電システム]分のCO2排出量の少なくなった分は、技術援助した日本の削減量に加算される。
しかし、中国では、いくら新式に置き換えられたとはいえ、火力だからCO2排出量が全くゼロとはならないため、温暖化効果ガスの放出量は日本の協力で中国は増やしたことになる。なるが、中国はお構いなしだから、日本だけが減らした記録が残り、地球全体では増えていることになる。これがもう一つの「京都議定書の欺瞞」なのである。