<電気新聞>(2001年9月6日)

・−[ウェーブ=時評]−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−・

     京都議定書の欺瞞

                中村 政雄

                                 
<その1>


 元読売新聞論説委員をされた中村政雄氏のご意見はここでも何回か取り上げたが、今回ほど「よくぞここまで書いて下さった」と感じたことはなかった。

 「京都議定書の欺瞞」という見出からしてセンセーショナルこのうえないが、先ずは、4段5行目から始まる次のパラグラフを読んでいただきたい。

 京都議定書というのは、数字合わせだけで、実質的にはそれほど温室効
果ガスを減らす内容になっていない。                
 そのことをいちばんよく知っているのは環境省である。しかし環境省は
私がここに書いたようなわかりいい説明をしない。すれば京都議定書のイ
ンチキぶりを露呈するからである。                 
 「京都議定書」に盛り込まれた温室効果ガス削減の方策はほとんど機能しないということが我々専門家のうちでは分かっていた。

 1997年、平成9年、京都の国際会議場で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で、暮れも押し詰まった12月、議長国日本は、会議日時を大幅に延長して各国の思惑を調整してなんとかまとめあげたのが「京都議定書」である。クリスマスが迫り、浮き足立っている参加者を説得して期限切れ寸前に慌ててまとめた「京都議定書」などいいはずはない。

 そのことを知っているのは、当時のクリントン政権からブッシュ政権に代わったアメリカである。中村氏の説を引用してみよう。4段目最後のパラグラフである。

 日本の環境省よりよく知っているのは米国政府である。だから米国はボ
ンのCOP6で京都議定書から離脱した。温暖化の防止には京都議定書の
実行より、進んだ技術対策がいると主張した。            
 ではどうしたらより効果的に地球温暖化を防止できるとアメリカはいっているのか? 次の5段目最初のパラグラフに続く。

 その対策として米国が考えているのは原子力発電の増設と燃料電池自動
車の普及である。燃料電池自動車はガソリン自動車に比べ3倍くらい熱効
率がいい。自動車が全部燃料電池車に代われば、米国が吐き出すCO2は
十数%減る。いち早くその技術を実行すれば、世界の市場を支配できる。
これが米国の地球温暖化対策である。                
 ブッシュ政権が京都議定書からの離脱を宣言したとき、日本のマスコミは、「超大国のエゴ」と位置づけた報道に終始した。「世界で最もエネルギーを消費して温室効果ガスを何処よりも多く放出しているアメリカが、地球温暖化防止のバイブルとまでEUが信奉する京都議定書から離脱するなんて許しがたい」といった主張だった。

       (次につづく)