◆メディア=C○P7報道掘り下げて
桝本 晃章 東京電力副社長
<その2>
桝本氏は、今回のOPINIONで、今後の報道に対し三点の要望を提起されている。
第一は、今後の動きの中で、議定書からの離脱を宣言した米国とのかか わりに関心を寄せてほしいという点である。ボンで合意をしたとはいえ、 わが国が欧州にくみし、批准を急ぐあまり、最重要なパートナー米国の信 頼を失うようなことがあってはならないからだ。先般のサミットの場でブ ッシュ大統領と小泉首相は、この問題に関し共同歩調をとろうと意見一致 をしたと聞く。さらに、ボン会議直後に訪日したパウエル国務長官は小泉 首相と会談し、「日本が最後まで米国と欧州との橋渡し役を務め、米国に ドアを開けていることに感謝したい」と述べたと報道されている。 |
米国の離脱宣言は、「最大のCO2排出国にもかかわらず、米国は大国のエゴをむき出しにしているた」といった報道が目立っていた。真実はそうではなく、不公平な取り決めに業を煮やしたのであって、決して地球温暖化防止を無視しようというのではない。
米国はこの問題をどう考え、どうしようとしているのか、といったことの本質を常に掘り下げて報じてほしいということである。
第二は、再開会合でなぜに欧州勢が合意を急いだのか、その意図と事由 についての掘り下げた報道だ。思うにその意図は、京都の枠組みが圧倒的 に欧州有利であり、その点をより確実にしたかったからではないだろうか。 ポイントは削減目標の基準年90年にある。そのことは、C○2排出のお おもとであるエネルギー消費の推移を見れば一目瞭然だ。90年から10 年間の一次エネルギー消費の推移を見ると、日米が19%増、18%増と なっている。一方、欧州は4%増であった。要はこの10年間の欧州のエ ネルギー消費の伸びは日米の約四分の一と、はるかに低いのである。ドイ ツに至っては、6%も消費量が減少している。振り返れば、90年東西ド イツは統合された。91年にはソ連邦が崩壊し、ロシアをはじめ旧東欧諸 国では社会経済の混乱から産業活動が低迷し、今に至っている。いずれも エネルギ−消費量は減少している。当然のこととして、C○2の排出量は すでに減少しているのである。 |
ところが「京都議定書」に盛り込まれた削減率は、1990年の各国の実績を基準にして、2010年に、日本とカナダは6%、米国は7%、EU諸国は8%だった。一番多く削減しなければならない欧州勢がなぜ急いで合意しようとしているのか?
地球温暖化防止に一番熱心だから? ノンである。答は上記の桝本氏の第二の要望に出ている。ただ、こういう真実を報じる日本の報道機関は、まだ残念ながら知らない。
三点目は、景気への影響である。米国での研究結果を見ると、京都での 削減目標達成には日米欧ともに経済成長にマイナスの影響が伴うようだ。 今後構造改革の進展に伴って、わが国経済は厳しい状祝が続くと予想され る。加えて、地球温暖化対策の実施によるマイナス影響があるとすれば、 厳しさは一層大きくなる。その真偽を含め、広く国民に説明をし、その是 非について、問い掛けるべきではないだろうか。 |
わが国は、バブル崩壊後、長期の景気低迷で喘いでいる。金融機関の不良債権処理、特殊法人の廃止か民営化、行財政改革・・・どれも痛みが伴い、まだまだ景気低迷は続くだろう。その上、地球温暖化防止で省エネ断行にでもなれば、益々景気は悪化することは火を見るより明らかだ。
こういう状況が容易に予測できるにもかかわらず、狂信的な欧州の環境保護派の連中の口車に乗って、軽々しく「議定書」を批准するというのだろうか。我々は、ことの本質を掘り下げた真実を知りたいのである。
「G研」代表