COP6・京都議定書==もう一つのNGO
<その2>
<第4段14行目から>
ジェノバでのG8準備会に出席された朝日新聞の船橋洋一氏によれば、 「環境団体は、京都議定書を新たなバイブルとしてしまった。政治家たち は彼らの圧力に、出来ないとは言えないのだ」とフランスの出席者が言っ たという。 |
反捕鯨運動がいい例で、国際捕鯨委員会は、海洋資源の保護の観点から緊急措置として捕鯨モラトリアムを決定したが、当初、1990年までに科学的な助言をもとに資源の包括的な評価を行うことになっていた。
ところが、このモラトリアムの見直し作業は継続協議となって先送りしたままであることはよく知られている。が、この抵抗は、反捕鯨運動のNGOである環境保護団体のエモーショナルなアプローチであるといわれている。
このように、欧州諸国は、京都議定書作成にこのNGOを利用したことで、「出来ないとはいえない」のである。
<第5段3行目から>
ここに、地球温暖化を憂い二酸化炭素の排出削減を願うもう一つのNG Oがある。1990年に発足した国際原子力学会協議会である。この協議 会はCOP3以来、毎回代表を派遣し、今回も原子力の利用が二酸化炭素 排出の低減に有効であることを認識し、原子力利用を採用すべきと、強い 意思表示を行った。 |
「原子力利用を採用すべきと、強い意思表示を行った」とはいうものの、失礼ながら、所詮、サラリーマンの寝言の域を出なかったではなかろうか。
<第5段11行目から>
具体的には「原子力がCDM(クリーン開発メカニズム)の枠組みの中 に採用されるべきと考える。このCDMは、気候変動枠組み条約で必要な、 CO2削減達成を可能とする手段の一つとして認めたもので、環境汚染の ないメカニズム探求の作業である」と訴えている。 |
<第5段18行目から>
しかし今回の会合でも、「先進国は、原子力CDM、原子力共同実施か ら得られるクレジットを義務履行に使用することを差し控える」というこ とだった。 |
最初から分かり切っていた「原子力軽視」の成りゆきを止めることが出来なかった原子力関係国、とりわけ原子力推進を最近では最も精力的に押し進めている日本の行政府、そして原子力委員会が重い腰を上げなかったことに失望を感じざるを得ない。
良識派を自認する木元氏なら、単身でもボンの会議に乗り込んで、強力に「原子力重視」の必要性を訴えていただきたかった。
<第5段22行目から>
なぜ、このもう一つのNGOの声が聞こえないのだろうか。24カ国の 原子力学会、38の組織が参加する約10万人の声に、冷静に耳を傾けて ほしい。 |
「24カ国の原子力学会、38の組織が参加する約10万人の声」といっても、10万人全員がボンに集結したわけではなく、各組織のサラリーマン社員が出張費をもらって参加しただけであろう。
文字どおり「命を懸けて」、「原子力に頼らない地球温暖化防止策」を進めようとしている環境保護団体と、ここでもその意気込みに大きな差があったのである。残念ながらそう言わざるを得ない。
しかし、体制派の主張を進めるには、NGOをうまく利用するか、アメリカのブッシュ政権のように、徹底した抵抗を試みるかの方法しかないように思える。
NGOを利用すると、いつのまにか利用されていることに気付き、その呪縛から逃れられない危険性をはらんでいるだろう。また、国際社会での「徹底した抵抗」は、経済、軍事両面での大国としての力が要求されるだろう。さもなければ、「孤立」の危険性をはらんでいると言えよう。
「G研」代表