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日本経済新聞(2010年4月22日)


<IAEA事務局長講演>


  途上国の原子力需要増大


       安全技術・テロ対策強化を


    IAEA事務局長「原発、脱・貧困に有効」


(その2)


   <本文転載>

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は21日、松江市内で開 
かれた日本原子力産業協会の年次大会で講演し、今後、途上国を中心に原子 
力発電の必要性が増すことを踏まえ、安全な原発技術の普及と並行し、核関 
連物質がテロなどに悪用されないよう核セキュリティー体制の強化が急務だ 
と訴えた。米仏ロからの参加者からは原子力需要の拡大をにらみ、輸出など 
で自国の優位性を訴える声が相次いだ。                 
                                   
 天野氏は「原子力は気候変動の影響を緩和させるとして60カ国以上が導 
入を検討しており、途上国の貧困脱出にも役立つ」と指摘。原発利用国の増 
大で事故が増えたり、核物質や放射性廃棄物がテロに使われる事態を回避す 
るためにも「IAEAが原発の計画や建設、運転や関連法整備などあらゆる 
段階で新規導入国を手伝う」と強調した。                
                                   
 具体的には@核関連物質の流出先が特定できる核物質の情報共有や検知・ 
分析体制の強化A事件・事故への対応訓練B人材育成−−など。IAEAと 
日本の連携強化にも強い期待を示した。                 
                                   
 天野氏は同日の記者会見では、米国とロシアが新たな戦略核兵器削減条約 
に合意したことに関し「核軍縮進展へ明るい材料」と評価。5月に開催する 
核拡散防止条約(NPT)再検討会議では核兵器を保有しているとみられる 
イスラエルと周辺中東諸国の緊張で実現していない「中東非核地帯構想」が 
焦点との認識を示した。イランの核開発疑惑については「イランに限らず、 
すべての非核兵器保有国は(査察への協力など)義務を守ってほしい」と述 
べた。                                
                                   
 日本が近く運転を再開する高速増殖炉もんじゅについては「高速増殖炉は 
新技術の目玉。(運転再開後の情報開示を契機に)各国の研究者が意思疎通 
し、新型炉の開発に貢献する」と評価した。               
                                   
 年次大会では海外からの参加者も講演した。米エネルギー省のミラー次官 
補(原子力担当)は、原子力重視の路線を掲げるオバマ政権下で、大学での 
研究や人材育成にも力を入れ、「米国は原子力工学での優位を奪還する」と 
の決意を示した。                           
                                   
 ロシアの原子力企業ロスアトムのシェドロピツキー副総裁は、近年のイン 
ドや中国、ベトナムなどへの輸出商戦での実績を強調。アイスランドの火山 
噴火の影響で来日できなかったフランス原子力・代替エネルギー庁のビゴ長 
官は大会に寄せたメッセージで、2008年に国際原子力支援機構を新設し、
新規原発導入国への支援を強化していることを紹介した。