<読売新聞>(2001年7月12日)

[論点] 原発政策にトップの指導力

        金子 熊夫(東海大学平和戦略国際研究所教授)


 元外交官で原子力問題や環境問題などの分野の国際舞台で活躍された金子熊夫先生が、読売新聞の「論点」欄に「原発政策にトップの指導力」と題して意見を投稿されている。

 先生のご意見は常々拝聴してきたからよく存じ上げているが、一般の方々にも傾聴していただきたく、ここで紹介しておこう。

 いつものように全文を転載して各パラグラフ毎にコメントしていくのは止め、特に分かって欲しい部分、つまりアンダーラインの部分を抜き出してみることにする。

 結局、私たちは個人的な好き嫌いにかかわらず、今後相当長期にわたっ
て原子力に依存する以外に現実的な選択肢はない。そして、原発を継続す
る限り、使用済み核燃料とプルトニウムの問題は避けて通れず、仮に脱原
発に方向転換したとしても、既存のプルトニウムをどう処分するかの問題
は残る。                             
 日本のおかれた現状のなかで、「今後相当長期にわたって原子力に依存する以外に現実的な選択肢はない」ということだけは肝に銘じて知っておいてもらいたい。

 実は、こうした現実を大多数の国民が内心よくわかっていることは、各
種世論調査でも明らかになっている。ただ、自らの利害に直接響かないう
ちは無関心を装い、関与したがらないだけなのだ。とくに、電気の最大の
消費者である都市住民にこの傾向が強く見られる。          
 「大多数の国民が内心よく分かっている」とは、先生のように純粋な心の持ち主ではない我々にはどうしてもそう思えないが、誰がなんといおうがこれが現状であることだけは確かである。

 原発推進が国策である以上、全国民の代表である小泉首相、東京都民代
表の石原知事は、今からでも遅くない、自ら原発立地自治体へ足を運んで
地元住民に感謝の気持ちを伝え、彼らの痛みをともに分かつ誠意を示して
ほしい。所管大臣や電力会社の社長だけで済む話ではない。      
 わが国のエネルギー政策は、しっかり国会の場で議論し、その中に「国策として原発推進」を盛り込むなら、総理や東京都知事でなくとも、国会議員が地元住民への説得に努めてもらいたい。

 もちろん、総理自ら原発立地の地元へ足を運んでくれるなら、それに越したことはない。「国の政策」の国民への説明に、民間企業である電力会社が中心となって出かけてゆくというのはおかしな話ではある。

       「G研」代表